第2話 スマートホームとの最初の出会い

由衣ゆいがスマートホームに興味を持ったきっかけは、2年前のことだ。仕事とプライベートの両立が難しくなりつつあり、家事をする時間すら惜しいと感じるほど忙しかった。毎日、多忙を極める営業職として働き、帰宅後には疲れ切ってベッドに倒れ込むのが常だった。さらに、その年には親しい同僚や友人が立て続けに転勤や引っ越しで遠く離れ、彼女の中に隠された「孤独感」が静かに芽生え始めていた。


そんな折、スマートホームの広告を偶然目にした。「すべてを自動化する家。あなたの生活を効率的かつ快適に――未来型の暮らしを手に入れませんか?」という宣伝文句は、忙しい日々へのストレスに悩まされていた彼女の心に響いた。手軽さと効率性を求めて、彼女は新居への引っ越しを機に、スマートホームシステムを導入することを決意した。


いざ導入してみると、その快適さは想像以上だった。最初こそ使い方に慣れるまで若干の戸惑いがあったものの、慣れればまるで魔法のように日常が変わった。掃除ロボットが部屋を綺麗に保ってくれ、湯沸かし器が遠隔操作で淹れたてのお湯を届けてくれる。お皿洗いも全自動で済んでしまう。もはや手作業で何かをする必要性がほぼなくなったのだ。

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