神様の書庫

かえで

プロローグ

第1話 神様の読書

「ジェニファー様、お茶が用意できました。」

「ああ、ここに置いておいとくれ。今村由奈さんを読んでるからさ。」

__ここは、雲の遠く上の世界、天界。

そこにいるのは神社に住まない変わり者の神、ノアール・ジェニファー。

天使の執事、アロン・フューズがお茶を机に置く。


さて、今読んでいるといったがそれは間違いではない。

ペラッと今村由奈と雑に書かれた表紙を見る。

「この子も、すごいよね~~。ほんと、よくやるよ。」

そしてページに目を戻すと、びっしりと文字が書かれている。たまにイラストはあるが、ほとんどは小説である。


「社会人になって、刑事になって、何度も死にかけて。でも、僕が妙に出ださない方がいいんだろうね、こういう子には。」

その本にはすべての体験が書かれている。それを見て、あとがきにジェニファーがその人をどうするか書く。

それがここでの仕事なのだ。


光を放つ本がちらほらある。それは助けを求めている暗示。

光が強いほど助けを求めているということである。

「お、これまぶしいね~~。」

「ですね。」

またジェニファーは光る本を取り出して手を差し伸べていく。

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