第7話異端審問官と神殿の裁き


神子ルミナを打ち倒してから、半日と経たないうちに、レイナは神殿へと連行された。


神聖都市ルミア中央部。

大理石の回廊が幾重にも重なり合い、天空へ突き抜けるように伸びる巨大な神殿。

そこに集うのは、神の加護を得た神官たちと、“神の意志”を代弁する異端審問官たちだった。


(まるで……裁判ね)


レイナは、神殿の中央に設けられた「神罰の円環」に立っていた。


その視線の先、重厚な黒衣を纏った男が口を開く。


「貴様は“神子”を攻撃し、加護を拒絶し、神に背いた……よって異端と認定する。最終弁明はあるか?」


「……神は、正しい存在なの?」


その一言が、場を凍らせた。


「なに?」


「私をこの世界に連れてきたのは神。そして私を理由なく追放したのも神。そんな存在が、絶対に正しいと誰が決めたの?」


「黙れッ!」


バチン!


神殿全体を振動させるほどの雷撃が、レイナの身体を貫こうとする——


◆森羅拒絶:対象【雷撃の裁き】を遮断

◆反撃値蓄積(中)…60%


「また……効かない?」


「ば、馬鹿な……神罰が通じぬなど……!」


騒然とする審問官たち。

だが、レイナは静かに歩み出る。


「あなたたちは、信仰ではなく“服従”を求めている。それは神の意志なんかじゃない」


◆反撃発動:対象に反逆ダメージ!


ドォンッ!!


衝撃波が神殿を震わせ、異端審問官たちが次々に吹き飛ばされる。

そこにいた誰もが理解した。


この少女は——神すら拒む“異なる理”を持っている。


「魂が……格が違う……!」


審問官の一人が、震えながら口にする。


「貴様……いや、貴女は何者だ……!?」


「私はレイナ。追放されたただの一人間。でも——」


その瞳に、光が宿る。


「この世界を、神々から取り返す者よ」


シン……と神殿の空気が張り詰める。

まるで、この空間そのものが、レイナの“意志”に圧されているかのように。


(……《反逆》がまた……進化しようとしてる?)


その瞬間、レイナの内なるスキルに“変化”が生まれた。


🆙《反逆》スキル成長!

Lv:2 → Lv3


蓄積上限UP/反撃ダメージ増加(中)


【森羅拒絶】の対象に“加護全般”が広く含まれるように


※ただし対象は引き続き「1つまで」


《反逆深化》ゲージが1%進行

(一定条件で発現)


🕊️ 神殿内の影にて──

一人の少女が、影の中でその様子を見つめていた。


銀髪のローブに、無表情の瞳。

その姿に、神殿内の誰も気づいていない。


「……興味深い。神の力を拒絶し、なお魂が濁らぬ者……」


「“魂喰らい”として……一度、試さねばならないわね。レイナ・ミゼリス」


神をも喰らう異形の存在が、静かに牙を研ぎ始めていた。


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