私の好きな俳句

遠山ゆりえ

第1話 中村草田男

まず最初は、私の推しである中村草田男の俳句について語っていきましょう。


勇気こそ地の塩なれや梅真白


梅が季語で春の句です。「地の塩」とは聖書の言葉で社会の役に立つというニュアンスだそうです。草田男はクリスチャンです。その意味がわからなくてもこの一句、かっこいいと思いませんか?真白な梅が凛としてます。何をやるにも勇気は必要です。アンパンマンだって「勇気百倍」と言ってますからね!



萬緑の中や吾子の歯生え初むる


萬緑が夏の季語です。教科書などにも載っている有名な句です。百や千の緑ではなく万緑です。何処もかしこも緑です。そんな中、吾が子の白くて小さな乳歯が生えてきました。大自然が子供の成長を讃えているようではありませんか!生命力溢れる一句です。かわいい!!



はまなすや今も沖には未来あり


(すいません、はまなすの難しい漢字の変換できないのでひらがなです)

はまなすは夏の花。夏の海で沖を見ていると、遥か彼方から波がこちらへやって来ます。時間がこちらから彼方へ過ぎ去るのではなく、未来が彼方からこちらへやって来るのです。沖には未だ見ぬ未来が存在してます。なんて哲学的!!



炎熱や勝利の如き地の明るさ


8月5日は草田男が亡くなった日、炎熱忌です。真夏の太陽に照らされた地面は眩し過ぎて、勝ち誇っているようです。確かに翳りも無く、明るいの一言に尽きます。しかしあまりに明るいと少し不安になりませんか?勝利の如きだから、勝ったわけではないようです。敗戦を連想させる句です。



秋の航一大紺円盤の中


秋、船のデッキで海を眺めています。見えるのはぐるりと海ばかり。紺色の海は船を取り巻き円盤の形です。水平線が円く、地球はやっぱり丸いんだと実感できます。大きな景ですね~。秋の澄んだ空気の中の航海です。



冬の水一枝の影も欺かず


冬の張りつめた水は鏡のようです。湖は森の木々を映します。はっきりと、ひとつひとつの枯れた枝もそのままに。結句の「欺かず」がきっぱりとして、つくづくかっこいい!東山魁夷の絵にありそうですが、魁夷はもっと柔らかい感じかなぁ……。



寒星や神の算盤ただひそか


冬の寒空に星が静かに瞬いています。地上では人や動物や植物等、あらゆるものの営みが行われています。ここでの神は、キリストと限定しないほうがいいと思います。人智を超えた大きな力が、ひそかに算盤をはじいています。どんな答えを出すのでしょうか?それこそ神のみぞ知るです。



私の尊い推しの俳句をご紹介しました。下手な感想ばかりで怒られそうです。興味を持ったかたは、ちゃんとした解説を読むのをお勧めします。



















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