第8話 悠人の寝坊

朝、約束の時間にマンションの入り口で待っていた。


都市の朝は静かで、規則正しい生活リズムが街全体に流れている。


しかし——。


肝心の悠人が、来ない。


腕時計をちらりと見ると、約束の時間を30分過ぎている。


俺は軽くため息をつきながら、周囲を見渡した。


さすがにそろそろ様子を見に行こうとしたその時——。


マンションの階段から、バタバタと足音が響いた。


「わ、悪い!寝坊した!」


悠人が、慌てた様子で駆け下りてくる。


寝癖の残る髪をかきながら、額の汗を軽く拭っていた。


「昨日の夜テンション上がっちゃって、全然眠れなくてさ……申し訳ない!」


そう言いながら、必死で謝る悠人。


俺は少し呆れながら、それでもどこか憎めない気持ちになった。


「いいよ。別に急いでるわけじゃないし。」


悠人は安心したように笑い、軽く肩をすくめる。


「サンキュ!よし、行こうぜ。今日の目的地はJACだな!」


そう言って、彼は目的地に歩き出した。


俺も小さく息をついて、悠人のあとを追いかける。


都市の整然とした街並みを抜け、JACの施設へと向かう。

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