第2話 都市への移住

「よっこいしょっ……と」


重たい段ボールを床に置き、深く息を吐いた。


まだ細かい整理は残っているが、午前から続いた搬入作業がようやく終わったため、ひとまず一息つく。


「ふぅ…ようやく少し落ち着けるな」


簡素なテーブルに腰を下ろし、背中を伸ばす。


新しい都市、新しい生活。ここからが本格的なスタートだ。




霧崎 凛(キリサキ リン)——この都市に移り住んだ新入りの住民。 仕事を探す為にこの都市へ来ることになり、今朝、正式に住民登録を終えたばかり。




都市の構造は整然としていて、すべてが合理的に配置されている。


住民同士の会話も形式的で、どこか機械的な印象すら受けるほどだ。


とはいえ、慣れてしまえば快適な生活が待っているのだろう。


設備も整っているし、利便性は申し分ない。


窓の外を見れば、統一された都市が広がる。


白い建物、整然とした道路、人々の流れるような動き——。


「ま、悪くない場所かもな」


軽く息をつきながら、カップの中の水を一口飲む。


どんな日々になるかは分からないが、まずはこの環境を楽しむことにしよう。


そんなことを思いつつ、再び作業を始めた。



それからしばらくして、窓から少し夕焼けが差してきた。


「さて、とりあえず一通り終わったか」


室内を見渡し、部屋の外へと出ることを決める。


都市の空気を感じながら、広がる街並みをゆっくりと見渡すとそこには、夕焼けが都市を染め上げ、どこか幻想的な風景が広がっていた。


住民たちはゆったりとした歩調で移動しており、規則正しく、秩序の中で静かに呼吸しているようだった。


「……すごいな」


思わずその美しさに驚いた。


都市は想像以上に発展しており、歩道は清潔で、交通の流れも計算されたようにスムーズ。


あらゆる場所で最新の技術が組み込まれ、合理的なシステムによって支えられている。


凛にとって、この都市の整然とした美しさはまるで別世界のようだった。

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