私の好きな短歌

遠山ゆりえ

第1話 女性の歌人

自分でも拙い短歌を作ってますが、有名な歌人の歌の中から、好きなものを取り上げてみたいと思います。


研究しているわけではないので、かなりいい加減です。はじめに謝っておきます。よければ最後までお付き合い下さい。



焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き       俵万智


『サラダ記念日』で有名な俵万智の短歌です。不倫相手の娘と食事でもしているのでしょうか……。少女はお父さんと彼女との関係など知らず、あくまでも無邪気です。ケーキやクレープではなく焼き肉と熱いグラタン。結句が怖いですね~。挑発的。食べ物の好きと男が好きと並列されてます。生々しい!赤裸々な気持ちをここまでストレートに短歌に出来る彼女はやっぱり凄すぎる!!



観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生              栗木京子


一日は「ひとひ」一生は「ひとよ」と読みます。これも恋の歌ですが、俵万智のように強烈ではありません。淡い片想いの雰囲気ですよね。だけど一生ものの思い出って、これもなかなかな気持ちです……。誰にでも一生忘れられない恋の場面が、ひとつはあるでしょう。共感を呼ぶキュンとなる歌です。観覧車を見るとこの歌を口ずさみたくなります。



たとへば君ガサッと落ち葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか   河野裕子


やっぱり恋の歌です。好きな相手が優し過ぎて、もっと情熱的になってほしい?「たとへば」と副詞ではじまるのが効果的だと思います。破調も勢いがある。


手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が      河野裕子


同じ作者による歌です。癌を患っていた彼女の最期の歌です。前の歌は若い頃のもので、これは晩年です。「息が足りないこの世の息が」に苦しさ、無念さが感じられます。まさに絶唱。死の間際にこんな歌が残せるなんて本物の歌人です!!



ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり   永井陽子


サルバドール・ダリの『アンダルシアの犬』というシュールな映画ありました。

この歌もシュールです。なんだか回文のような構造じゃないですか?実験的な短歌だと私は解釈しますが、作者にとっては実感のある思い出や憧れの歌かも知れません。彼女の頭の中が知りたいです。真似できない……。



ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟われも雛罌粟        与謝野晶子


女流歌人で避けて通れないのは与謝野晶子でしょう。彼女の歌を全部把握しているわけではありませんが、この一首が好きです。雛罌粟はひなげしのことで、コクリコと詠んでます。5月のパリ、真っ赤なひなげしが一面に咲いてます。鉄幹と晶子がひなげしを見ています。2人ともひなげしと同化して真っ赤に燃えている、そんな光景でしょうか。もう情熱がダダ漏れです。この大げさな所が素敵です。彼女は鉄幹との間に10人以上の子供をもうけ、バリバリ仕事して、鉄幹を越えてます。この時代、多分子供を日本に残してフランスへ夫を追いかけて行ったはず。その行動力は何処から生まれるんでしょうか!?


アンダルシアの向日葵とフランスのコクリコは、これらの歌によって、私の心にいつまでも咲き誇っています。
















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