第17話 ルシアは応戦する。
驚きに固まる男達の顔に、ルシアは一瞥も寄越さなかった。
すぐさま一般魔法で、四肢を縛る縄を切り、弾かれた石に駆け寄る。
だが狼狽えていた男達の一人がハッとした様にルシアに腕を伸ばし捕まえようとする。
反射的にルシアの手のひらから閃光が迸った。空気を裂くような音と共に男の腕を弾き飛ばす。
「痛っ!」
男は呻き声を上げ、手を引っ込める。
そうしてルシアは一目散に石を手に取ると、一塊になっている男達を目掛けて投げ付けた。
男達に当たった途端、石は火を噴き男達に燃え広がる。
肉を焼く匂いが鼻をつく。
男達は皆一様に膝をつき何事か叫んでいたが、暫くすると静かになった。
ルシアはそれらに近づくが、火の勢いはまだ衰えず、中の様子は確認出来なかった。
これはいつ落ち着くのだろう、とルシアは妙に鈍行する頭で考えた。
火は勢いを損なわずに燃え続けている。
フリアンの説明は、使った際の止め方までは及んでいなかった
とりあえず水をかけてみようと、倉庫の扉を後ろ手に閉めながら、外に出た。
外は森のようになっていて、人や家の姿は無かった。
ルシアが井戸は無いかと辺りを探していると、遠くから足音が聞こえてきた。
土を蹴る音が、風を切るように近づいてくる。その息は荒く、何かを急いでいるようだった。
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