新大津亰へようこそ!⑤
あれよあれよという間にバイクに乗せられ、十分が経った。
「ミカ」と名乗った少年はライダーの後ろへ。「フェアリー」と紹介された“きゅるる”少女は、サイドカーに乗ったルーシーの膝上へ。そして「ユニコーン」と名乗った角男は、法定速度を無視して路地裏をぶいぶい走り抜けていく。
本来ならば二人乗りの車両に四人で乗ったのだ。違反も甚だしい。
どうやら彼らのアジトなる場所へ向かっているようだ。勢いでついて来てしまったものの、これからどうしようかと不安を募らせるルーシーだった。
ルーシーの心中を察したのか、ミカが今回の『仕事』について簡単に説明を始めた。
「あー、さっきは怒鳴って悪かった。オレもその……テンパってたんだ――で、今回の『仕事』だ。あんたも気付いてるだろうが、オレはマナテリウムとちょっと大きな声では言えない取引の資料を運ぶように頼まれたんだ」
「取引?」
「ああ、それは……言ってもいいですかね?」
ミカは慎重に――爆走するエンジン音に負けないよう叫びながら――フェアリーに許可を取った。フェアリー「きゅるる~」と頷いたので、たぶんいいのだろう。
「なんだァ、まだ説明してなかったんかい。不親切なヤツや」
ユニコーンが車体を大きく傾けながら茶々を入れる。ミカは小さくため息をつき、話を続けた。
「マナテリウムの所有、運用にはB級以上の戦闘員資格と危険物取扱の免許がいるだろ?でも、今回のクライアントはそのどっちも持ってなかったんだ。だから“壁外”の運び屋から仕入れた未加工の結晶体を持っていこうってなったんだが……」
「ミカのヤロウが、軍警に見つかって事が大きくなっちまったってワケだ」
ユニコーンがまた茶化すように合いの手を入れて来た。車体が斜めに傾く。
「いや、あれは運び屋連中がちゃんと箱を閉めなかったからっ!」
「二重、三重の確認も仕事の内や。てゆうか今更やけど、ちゃんと“ブツ”は持ってるんやんな?」
「ああ、ここに……………………ないっ!?」
ミカが鞄の中をひっくり返し、中から多種多様なごみが飛び出る。次に変装用に来ていた“偽”制服のポケットをまさぐるが、こちらも不発。
おそらく、バイクに乗る直前に落としてしまったのだろう。
「……落としたんかい。まあいい、ボスには俺から言っとくわ」
「……すんません」
「謝んのは早いで?その子について説明せにゃならんのやから」
そこで、全員の視線がルーシーに集まった。
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天井世界の歩き方 かne @12437580
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