新大津亰へようこそ!④
「うるる~?」
少女は二人を見つめたまま動かない。ルーシーも同様に動かない。いや、動けない。状況が呑み込めず、硬直しているのだ。
目だけ動かして少年の方を見ると、動揺しまくるルーシーを無視して鞄から書類を取り出した。
「お疲れ様です。コレ、今回の……」
先ほどとは打って変わって礼儀正しく振舞だした。どうやら、“きゅるる”少女は少年の上司にあたるらしい。
「きゅる~るるんるん」
少女は書類を受け取り、中を確認する。上機嫌にごみ箱の底から取り出したランドセルに書類を仕舞った。
「きゅうるる~」
少女は次にルーシーを指さした。鈍感で間抜けで状況が呑み込めていないルーシーでも、この意味はわかる。「マナテリウムを渡せ」と言っているに違いない。
「……えっと、これ、どうぞ?」
ポケットから取り出したものを渡そうとすると、少年が止めてきた。
「おまっ……バカか?!光で見つかっちまうだろ!」
「え、あっゴメン――」
慌てて仕舞おうとハンカチを強く握った。だが、手が滑って結晶が丸裸になってしまった。
先ほどとはくらべものにならないレベルの閃光が、辺りを包む。
「――っ――やべえ、来る!」
少年が焦った様子で鞄と少女を抱え、空いた右手でルーシーの手首を掴む。
遠くからサイレンの音――ではなく何かけたたましいエンジン音が聞こえてきた。
少ししてその音はバイクのものだと気づく。接近を肌で感じた頃には、目の前に派手な塗装のされたサイドカー付き三輪バイクが停まっていた。
暗闇でも形がはっきりわかるシルエット。ライダーである男のノーヘル頭には立派な一角が鎮座していた。
「
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