天井世界の歩き方

かne

落ちろやアングラ、おいでよ終末!

新大津亰へようこそ!①

 ここは、琵琶湖の上に浮かぶ空中都市『新大津亰』。様々な人種の人が平穏に暮らす街。


 地上世界が大災害で滅び、正体不明の化け物に支配されてから、もうすぐ十年。人々は“空”を写すドームに覆われ、マナエネルギーで動く巨大な円盤の上で暮らしていた。



 そして――


「あー、塾、だる⋯⋯」


 ルーシーは、退屈だった。


 ルシール・真帆まほろ・ディアンナ。周りからはルーシー呼ばれる少女は、羊の角と耳、尻尾を持つ亜人の高校生だ。


 偏差値はそこそこな中心街の学校に通い、平日は塾。休日は家から出ずに昼まで寝る。


 学校に友達は一応いるが、わざわざ約束してまで遊ぶ程の仲ではない。

 せいぜい、ノートを見せ合ったり昼食を一緒に食べる程度だ。


 父は区役所の事務、母は食品メーカーの開発部。兄は防衛軍に入隊し、数年会っていない。


 ごく普通の家庭、ごく普通の学生生活。事件もトラブルも無い普通の街。

 そんなごく普通の“平和”が、ルーシーを退屈にさせていた。なんでもいいから、刺激が欲しかった。


(なんか面白いこと、ないかな)


 モノレールの座席で単調な流行りの曲を聴いていたら、あっという間に塾の最寄りに着いてしまった。


 点字ブロックを避け、標識を見流しながら改札を出る。その時だった。


「――そこのヤツ、止まれっ!」


 後方から怒号と複数人の足音が響いた。


 一方は軍警職員が数名。もう一方は十六、七ほどの少年だった。

 

 妙に派手な色の制服を着て、革製のスクールバッグを抱えた少年が軍警に追われている。どう見ても異常だったが、ルーシーはこの上なくワクワクしていた。


「事件の匂いっ!――」























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