NYでの物語。
波羽 紗羅
第1話 NYであなたに会って。~シダレサクラ。
伊能商社に内緒で合格して、
あの人に、受かったって言った時、
びっくりしてたっけ。
そして、入社して1ヶ月。
なにやらテストを受けて、
いつのまにやら、社内で6人に選ばれて、
2ヶ月の研修でNYに来ている。
週に一度の休み。
私は、NYの公園の桜を見にやってきた。
6人の内のもう一人の女子は、
なんだっけ。お買い物しに行ってしまった。
ま。私も買い物ついでだけどさ。
そういえば、今朝、
「佐藤さん、大丈夫なの?」
なんて、
朝食の時、声かけられたけど。
私、いつもみんなの後ろに
いたからかなぁ。。。
今更、英語は大丈夫も何もないか。
一人、苦笑しつつ、歩いていると、
ベーカリーを見つけた。
そこで、コーヒーとマフィン2個を買う。
そして、目指すは、桜。
公園に入ると、そこは…、日本だった。
あ。。。こんなに日本なんて、
思ってもいなかったな。
お花見に来ている家族などの
パーティから離れていって。
ちょっと離れると、そこには、見事な
シダレサクラ。
あ。伊能さんだ。
お花見の時に、花言葉を教わったから、
覚えていた。
あなたに微笑む・・・。
そんな花言葉だったな。
そうだ。メールしよう。
私は、バックから携帯を取り出して、
桜を撮影すると。
私は元気です。
そう文章を添えて、伊能さんに送信した。
すぐに、電話が鳴って、あたしは、
びっくりして携帯を落としそうになった。
「もしもし。佐藤?」
「伊能さん。」
「メール、ありがとう。」
「うん。伊能さん、思い出して。」
「そっか。写真、桜、きれいだな。」
「すごくきれいだよ。今ね。」
「うん?」
「桜の下で、トマトマフィン食べてる。」
「懐かしいな。」
「ベーカリーで見つけたの。」
「よし。佐藤が帰ってきたら、持ってくよ。」
「ホント?」
「ああ。お袋に言っとくよ。」
「嬉しい。夢子さんによろしくね。」
「わかったよ。」
伊能さんの後ろから、秘書さんの声がする。
「あ。長くなっちゃった。ごめんなさい。」
「いや。大丈夫。息抜きになったよ。」
「それなら良かった。」
「じゃ。またな?」
「うん。またね。」
「佐藤は、休日を楽しんで。」
「伊能さんは、無理しないで?」
「ああ。ありがとう。」
「じゃ。切るね。」
話したあと、すごく優しい気持ちになって、
桜をもう一度見上げた。
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