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興奮冷めやらぬとは、こういった状態なんだろう。

ステージを降りた後もみんなで喜びをわかちあった。

楽屋が少し離れた建物の中だったのでぞろぞろとみんなで移動し始めたら、

女性ふたりに声をかけられた。


え!?


来栖ちゃんと飯森さんだ。


「聞いてらっしゃったんですか?」

「素敵だったわ。」「鳥肌立ちました。」ふたりも興奮した面持ちでそう言った。


来栖ちゃんにちょっとだけ話したことあったけど、まさか来るなんて。それに飯森さんまで。

場所とかも言ってなかったのに、ちゃんと調べて来てくれたのね。嬉しい。嬉しすぎる。


「ありがとうございます。ありがとう。」と言って頭を下げる。


さきおも飯森さんは知っているから、輪の中に。

飯森さんがいつになく上気した顔でステージの感想をしゃべってくれる。

来栖ちゃんが相槌をうっている。


何度もありがとうございます。と言って、最後はふたりとハグをした。


最前の面々はわかったけど、まさか大勢のお客さんのなかにふたりが居たなんて、全然わからなかった。

お客さんの顔をそれぞれ見るなんてそんな余裕はなかったけど。


ふたりと別れてから、

「びっくりしたあ」とさきおに言う。

「あの子が来栖ちゃん?」

「そう。かわいい子でしょ。」

「なんどか見かけたことがあるけど、あの子だったのね。」

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