第二章

十年前の12月、私は中目黒駅にいた。


自分でもわからなかった。

なぜこんな得体のしれない女性に会う約束をしてしまったのか。

そんなことを思いながら竹内さんから今まで送られてきたメールを見ていると、


非常に恐ろしいことに気づいてしまった。


約束の時間六時だった…


聞き間違えたのだろうか、駅の時計は四時五十分を指していた。

私は約束の一時間前に来てしまったのだ。


きっとこれを読んでいる皆さんは

なーんだそんなことかー

とか

おもんなー

とか思っているかもしれないがこれは非常に深刻な問題である。


一時間とは非常に微妙な時間なのだ。


中目黒は結構暇つぶしできる場所が多いが、

どれも一時間という中途半端な時間で楽しめるかといったら

微妙な場所ばかりだ。


いや、これは中目黒に限らないだろう。

結局

なんで二時間じゃなかったんだよお

とか考えながら個人経営店の年季入ったカフェででコーヒーを飲むだけで一時間は終わった。で、その店のクロワッサンがおいし…


さて、どうでもいい話はそのくらいにして

本題に入ります。


果たして彼女は来た。


私は真面目そうな女性で少し安心した。しかし、彼女の眼は

鬱病患者のようだった。




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