第39話 玲香 レイプ
10月4日 金曜日
今日は金曜日だ、天気もいい、玲香はタクシーのエンジンを始動すると、
すぐに無線が入った。 大森から錦までのお客さんだ。
5000円以上の売り上げが確定だ。
そのお客さんを錦で降ろすと、また、すぐお客さんが乗ってきた。
最先がいい。
そんなこんなで、19時にはもう、売り上げが1万円を超えた。
いつもの倍額だ。玲香は、得意げに春樹に電話をして、その事を告げると、
春樹も1万円近くはできていた。
今日は、忙しいねと言って電話を切る。
その後、22時近くに、今池から3人の男性客が乗ってきた。
年は3人とも30歳前後だろうか
「ありがとうございます、どちらまでですか」玲香が尋ねる。
「平和公園、猫ヶ洞池わかるか?」
「はい、分かりますが・・・・・」玲香はこんな時間に、
そんな所に何があるのかと不思議に思った。
平和公園とは、殆どが墓地である。
バンテリンドーム四個分の大きな戦争供養地だ。墓地以外に何もない所だ。
そして、玲香のマンションから1㌔も離れていない。すぐ近くなのだ。
「じゃ、動物愛護センターもわかるか、
そこの駐車場に俺の車が止めてあるんだ」
「なんで、そんな所に車があるんだ」 もう一人の男が聞いた、
「今日、親父に『動物愛護センターに来い』って呼ばれてさ、
『ビーグルって品種の犬を貰ったから手伝いに来い』って言ったんだ。
で、俺の車は平和公園の駐車場に入れて、
親父の車の後ろ座席で俺はビーグルを抱えていたんだ。
俺はウウウって、うなっている犬を抱きかかえながら、
家に連れてきたけれど、もう、噛まれるかと思ったよ。
だから、今、駐車場へ車を取りに寄って、おまえたちを送っていけば
タクシー代も浮かせれるだろう」
「そうか、それなら、ここまでは俺が払うよ」
玲香は三人の話を聞いていて、内心ホーとした。三人の話は続く。
「なぁ、東山動物園の池と平和公園の猫ヶ洞池と
どっちが高いか知っているか?」
「そりゃあ、こっちの猫ヶ洞池だろ」
「俺もそう思っていたら、違うんだよ、東山動物園の池が海抜80mで
猫ヶ洞池が44mなんだ。
つまり、東山動物園の上池から新池を経由して
猫ヶ洞池に水が流れて山崎川になるって事だから、
山崎川の源流は猫ヶ洞池って聞いていたけど、
おれは上池が山崎川の源流だと思っているんだ」
「あれ、猫ヶ洞池って矢田川に流れているんじゃないのか」
「それは、大雨の時、洪水なんかで水位が上がると千種台川を通って
矢田川に排水されているんだ。その川ってほとんど、地下を流れているから
知らない人が多いけどな」
「よく、そんな事を知っているな」
「そりゃあ、汚染水の浄化処理なんて仕事をしていると、
どうしても川が関わってくるからな」
「それで、明日、何時の飛行機だ」
「セントレアに11時集合なんだ」
「ハァ、考えただけでも、イヤになっちゃうな、広田!」
坊主頭の腹ぽっちゃな男がうなだれている
「本当だよ、なんで、俺たちなんだ、ラオスなんて、行きたくないよ」
「汚染水の浄化処理に、なんで
よその国まで行ってやらなきゃならないんだ」
「日本の浄化処理だって全然、追いついていないって言うのに、
ふざけた話だぜ」
「日本は外面だけいいんだ。中の事なんか、ちっとも分かちゃいない」
もう一人の男が玲香に話をしだした。
「泉さんは何歳なの、まだ、若いよね」
後ろ座席に運転手の名前が表示されている。
「いえ、もう、おばさんです」
「そんなこと無いだろう、まだまだ、いけるよね、
けっこう、かわいいじゃん」
男たちが玲香の顔をのぞき見る。そして、後ろで、ひそひそ話が始まった。
玲香は動物愛護センター近くまで来ると、
「お客さん、駐車場はどちらになりますか」
「まっすぐ突き当たりまで行ってくれ、そこに、
白のスカイラインが止まっているだろ、その横に着けてくれ」
玲香は言われるとおり、スカイラインの横にタクシーを着けた。
真っ暗だ、少し離れた所に六角堂があり、そこから街灯が見える。
「ありがとうございます。お支払いはどのように」
「先にドアを開けろ」 玲香は言われるとおりドアを開けた。
二人が降りる。
すると、一人の男が運転席の横に来てドアを開けようとする。
男たちの態度がおかしい!
玲香は恐怖を感じた。
すぐに運転席の下にある緊急スイッチを右膝で押し上げた。
後ろに座っている男が背後から玲香を押さえつける。
玲香は大声を上げてわめいた。
「たすけて!やめて!いや!」
「静かにしろ、どれだけ、騒いだって、誰にも聞こえやしないぞ」
「やめて!いやぁ!」
「おい、広田、そこの休憩場に連れて行こう、
あそこならベンチがあるからやりやすい」
玲香は三人の男たちに両手を引っ張られて、
薄暗い六角形の屋根付き休憩場に連れて行かれた。
タクシーのライトがこっちを照らしている
玲香は力いっぱいに抵抗するが3人の力には勝てない。
足元が暗い中で、1人の男が階段を踏み外した時、
その反動で玲香は鉄のチェーンポールの取っ手に
思いっきり身体をぶつけた。
その時、あばらが折れたようだ。
息ができない、
そんな中、男たちは玲香を石造りのベンチに連れて行き、うつぶせにして、
ズボンを脱がせ、パンティも放り投げた。
両腕を引っ張って押さえる男
もう一人の男が立ったまま腰を動かし始める。
そしてそれをスマホで録画している男がいた。
玲香は胸が痛くてそれどころでは無い、
息もできないほど苦しい、されるままだ。
その時、パトカーのサイレンの音がドンドン大きくなって近づいてきた。
その音を聞いた男たちは、玲香をそのままにして一目散に車に乗って逃げていった。
つまり、危険を感じた時、玲香が直ぐに緊急スイッチを入れていたので、
指令センターでは玲香の車両に異常が発生した事を知り、
車内で何が起きているのかを
車内モニターから送られてくる映像を見て確認をしていたのだ。
男たち三人が玲香に暴行をしている。
それを確認すると、すぐに警察に連絡をした。
GPSの正確な位置情報を警察に知らせ、
車内での状況を明確に警察に伝えた。
しかし、警察官が玲香の元に駆付けた時には、3人の姿は見えず、
玲香は石造りのベンチの上でうつ伏せになったまま、微動だもしなかった。
下半身はパンティもはいていない。上半身も、シャツは肩の方まで
めくれ上がっていて、見るに忍びない姿だった。
救急車は玲香を東部医療センターに搬送した。
会社は、春樹に、今、起きた事件をいち早く伝えた。
春樹はまっしぐらに東部医療センターに向かう。
春樹は動揺を隠せない。レイプ、その言葉が耐えられない。
1人では支えきれないのだ、すぐに修平に電話をした。
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