もし、貴方と同じ世界なら
焔聖來(ほむらせいら)
第1話 スパイ育成学校
この世界には光と闇がある。しかし、それらは決して交わらず、光が正義、闇は悪と定められる。でも、そんなふたつが交わって平和なハッピーエンドになるならいいよね。
「いってきまーす!」
私、
「琳寧!お前危ないからちゃんと前見ろ!」
「あ、夜半。ご、ごめーん。」
踏切の方からやってきたのは私の通う高校、私立バカタレ高校で天才と崇められる
「ほんっと、また眼帯付けて。やっぱ夜半は厨二病だね。ちゅーにびょー。」
「だから、俺は厨二病じゃない。」
夜半は毎日のように黒い眼帯、宝石らしきものが付いたネックレスを身につけてくる。でも、先生はそれを注意しない。
「本当、夜半は先生から好かれてるよね。」
何をしても許される夜半が羨ましかった。
「……。」
「そうだ、夜半。今日実技あるらしいけど。」
「今ここでその話はするな。」
私立バカタレ高校には普通の学校とは違う裏の顔がある。それがスパイ育成学校。朝は普通の高校生として勉強をし、夜になると2年生からは実際に戦場へ向かう。1年生までは武器の使い方を学び、3年生になるともう1人前。私たちには必ず撃たなくてはならない相手がある。
「……
「琳寧。」
「ごめん。」
闇帝王は闇取引を中心に活動するスパイ。そいつがリーダーとして活動する帝国軍は私たちが必ず撃たなくてはならない。帝国軍は国の存命にも関わるから。
「おはようございます( ¯꒳¯ )ᐝ」
「おはようございます。」
門の前に立っている先生に挨拶をし、それぞれの教室に入った。
「琳寧、おっはー。」
「あ、
美玲はスパイではない健全な高校生。そう、この学校の表の顔はただの私立高校。だからスパイのことなんて知らない人が大半。だから、学校で絶対に闇帝王の話はしてはいけない。
「はいはい、皆さん。HR始めますよ。」
この高校の先生はみんな現役のスパイ。普段は優しくても夜になれば怖い師範に入れ替わる。でも、敵組織を倒すためには怖くて逃げ出したくなっても頑張らないといけない。
「では……、HRを終わります。」
先生が手を頬に当てた。
これは私たち見習いスパイを招集するサイン。このサインは滅多に使われない。だからこそ重要なのだ。
「美玲、私ちょっとお手洗行ってくる。」
招集場所は各トイレの裏にある。見た目はごく普通のトイレ。だけどトイレットペーパーホルダーの裏をコンコン、と2度振動を与えると小さな扉が出てくる。そこを開ければメンバーの集まる部屋に出る。
「師範、何かあったんですか?」
「あぁ、帝国の動きが確認された。この学校の中に帝国のメンバーがいる可能性が出た。皆、不審なものがいればすぐ報告するように。」
それは私たちに課された任務だった。
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