滅茶苦茶すごい神に選ばれた最強投手が甲子園を無双する話
@yakiniku1111111
第1話 死闘
甲子園球場は最高の熱気に包まれていた
カウントは2ストライク 3ボール 2アウト
9回裏で 1 対 0
あと1球で勝負が決まる、大詰めである
しかし今現在、この甲子園球場は前代未聞の異常事態に見舞われていた
ファールが150回以上続いているのである
甲子園球場どころではない 例えプロの試合であったとしても150回以上ファールが続くなど歴史上ないことだった
ここに野球の神に選ばれた二人の人間がいる
一人は 投の神に選ばれた 斎藤 投流
一人は 打の神に選ばれた 悪童 ガクト
2人の実力は互角だった
投手は打者のタイミングをいま一歩の所で外しきれず
打者は打者で投手の投げる一投入魂の球を真芯で捉え切れなかった
その結果 実に150回以上ものファールを繰り返してきた
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お互いに勝負を決めるためのなにかが欠けていた
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お互い極限状態の中 勝負を続けていた両者だが 先に限界を迎えたのは・・・投の神に選ばれた天才だった
投流は 膝から崩れ落ち受け身を取ることもできず マウンドに頭から倒れ込む
スタジアムは息を呑み、時間が凍りつく。
その姿を見て 投流のチームメイト達がいてもたってもいられず投流の元へと駆け付ける
「もういいッ!!もういいよ 投流 俺たちの負けでいい 甲子園の優勝なんてもうどうでもいいよ」
息も絶え絶えに 投流は答える
「・・・もういい・・・って・・・なにがもういいんだよ?・・・・キャプテン・・・」
「甲子園の優勝なんかより、お前の方が大事だって言ってんだよッ!!」
キャプテンと呼ばれた選手は涙を流しながら投流の体を支える
「ごめん、ごめんな 投流 俺たちにもっと力があれば、もっと点数を取れてればおまえ一人にこんな重荷を背負わせることはなかった
このまま試合を続けてたら死んじまうよ おまえは だからもうマウンドを降りてくれ 大丈夫さ チームメイトは誰も恨んだりしない
むしろ感謝してるよ 万年予選落ちだった 俺たちが甲子園の決勝までこれたんだからさ」
チームメイト全員がうんうんとうなずきあう
「そうだよ ありがとう 投流」
「おまえ 俺たちのヒーローだよ」
「ここで負けたところで誰も おまえを責めたりしないさ」
(そうだ・・・投流は将来プロ野球界を背負って立つ選手になるに違いない、俺なんかとは違う 甲子園の優勝ごときで
死なせていい男じゃないんだ)
があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
うるうせええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
そんな投流のチームメイト達の様子を見て一人 咆哮を上げた人間がいる
スタジアムは息を呑み、時間が凍りつく。
投流の宿命の相手、悪童ガクトである
「くだらねぇことで俺と投流の勝負を中断させてんじゃねーぞ 名前を覚える価値もねぇ投流のおこぼれにありついてここまでこれてきた雑魚共がよ」
ガクトは目を血走らせて肩で息をし 手に持っていたバットを投流のチームメイトに投げつける
正気ではなかった、その様相は野球の魅力に取りつかれた悪魔だった
「いまなぁ 脳がドーパミンをドバドバ出しまくって最高ッにえくすたしいいいしてんだよ 殺すぞ 俺と投流の勝負を邪魔すんなら
おまえら全員なあああああああああああああ」
「なんだと、おまえ 俺のチームメイトを馬鹿にするのは許さねーぞ 野球の神に愛されてるだかなんだか知らないが おまえなんて最低の・・・」
「キャプテン、もう何も言わなくていいです」
「え・・・?」
「そうだ ガクト 確かにおまえの言うとおりだ 俺たち二人は今 最高にこの世界の誰よりも野球を楽しんでる ここで中断?そりゃないぜって話だよな」
「けどよ、投流・・・」
「それにキャプテン、わかってるだろ これはただの優勝をかけた勝負ってだけじゃない・・・兄貴の・・・あいつに殺された兄貴の・・・」
「わかった そこまで言うなら もうおまえを止めない キャプテンとしておまえの覚悟と行く末を見届けるよ 勝つにせよ負けるにせよ 死ぬにせよな」
その言葉を聞いて 投流はにやりと笑う
「ありがとうな、キャプテン あんたのおかげで力が湧いて来たよ 次の一球 俺の野球人生で最高最強の球が投げられる気がする
死んでも守り切って見せますよ 先輩たちが命がけでもぎ取ってくれた1点をね」
投流は両の足でしっかりとマウントに立ち
打の神に選ばれた宿敵 ガクトを睨みつける
「次の一球が正真正銘 俺の魂、俺の全力、、仲間の思い 全てを込めた最後の一球だ」
その言葉を聞いて ガクトはにやりと笑う
「はじき返してみろよ俺の渾身の一球を やれるもんならなあああああああ」
投流は全力で振りかぶり、その手から渾身の一球が放たれた
腕が雷鳴を纏った弓のごとくしなり、コンピューターで制御されているかのように完璧を超えたリリースポイントから放たれた球は、
爆風を巻き起こす弾丸の如く大気を裂いた、凄まじい速度と回転で空間を歪め、バッターとキャッチャーの視界を一瞬で奪う
時速170キロ、メジャーリーガーでも投げることが不可能という前代未聞の速度速球の、その一投は、ただの球ではなく、投流の魂そのものだった
投流の腕はもう役割を果たした・・・とばかりに折れた、上肢帯筋は断裂し投流は断末魔のような悲鳴をあげ
その場で倒れ込み意識を失う
投流一人の力で放たれた球ではない、今までの仲間との修練の積み重ね、信頼 想い、願い、執念 全てが詰まった
文字通り放たれた投手の野球人生全てをかけた投球だった
例えメジャーリーガーのトップだってこの一球は絶対に打てないと断言できる
ボールは轟音と共にホームベースを悠々と貫き、キャッチャーミットに炸裂
スタジアムは震撼し、観客の心臓は止まり スタジアム中の空気を揺るがす大歓声が巻き起こる
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はずだった
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球場にいる誰もが投の天才の勝利を確信していた・・・
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相対する打の怪物以外は、
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これが少年漫画の世界であれば、野球人生に真摯に向き合い全てを賭け仲間の思いを背負った主人公に軍配をあげるだろう
だけど現実は非情だった
野球の神は打の怪物であるガクトに勝利を宣言する
ガクトの眼光は雷光のごとく鋭く、投流の「目にも映らぬ」超速球を完璧に捉えていたその瞬間、
ガクトのバットは嵐を切り裂く神剣の如く弧を描き、ガクトの渾身の一打と投流の渾身の一球が衝突し衝撃波が場内を揺らし
投流の球は遥か彼方マウンドの外にはじき返される
打の怪物であるガクトは勝利の笑みを浮かべた
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この勝負の結末を綴る前に、この二人の天才の間にどのような因縁があったのかを語ろうと思う
とある一人の野球少年の死を、きっかけに 投の天才と打の天才はお互いに憎しみ合うようになる
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ーこの話は5年前に遡るー
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