知らない番号

最近、知らない番号からの着信が増えている。


最初は営業かと思って無視してたけど、留守電に「……ねえ、聞こえてる?」とか「どこにいるの?」とか、不気味な声が入ってることもある。


友達に相談したら、


「イタズラじゃない?番号調べてみたら?」


って言われた。だから、ネットで逆引きしてみた。


でもヒットしなかった。


それでもしつこく、夜中や早朝にもかかってくる。番号は毎回違う。

でも、最後の4桁だけは「0428」でいつも同じだった。


気味が悪いけど、どこかで見覚えがある気がして、履歴をスクショして保存していた。


ある日、家族のアルバムを整理してたら、古いスマホが出てきた。

中学のとき、俺が使ってたやつだ。懐かしくなって充電してみたら、電源が入った。


何気なく連絡先を開くと、一番上に保存されていた番号があった。


名前:はるか

番号:080-××××-0428


……思い出した。


あの頃、俺には「はるか」って名前のネットの友達がいた。

一度も会ったことなかったけど、毎晩のように通話して、好きって言われた。


でも、ある日突然――通話中に、「ごめん、助けて」って言い残して通話が切れた。


それきり、連絡は取れなかった。


親に話しても信じてくれなかった。ネット上の妄想だろうと笑われた。

俺もいつの間にか忘れていた。思い出さないようにしていたのかもしれない。


その夜、また知らない番号から着信があった。


番号の最後は――「0428」。


震える指で出ると、女の声が聞こえた。


「やっと出たね。ずっと、探してたよ」


電波は良好なはずなのに、ノイズが混じって、声はだんだん遠ざかっていく。

でも最後にはっきり、こう聞こえた。


「次は……そっち、行くね」


その直後、スマホの画面が真っ暗になった。

充電は、まだ90%以上あったのに。







《意味がわかると怖いポイント》

• 「0428」は過去に仲良くしていた“はるか”の番号の下4桁。

• 知らない番号の正体は、失踪・あるいは死亡した“はるか”の魂や執念。

• 主人公はその存在を忘れていたが、はるかの方はずっと彼を探していた。

• 「そっち、行くね」は、この世に戻ってくる、あるいは迎えに来るという意味――主人公が次に連れていかれる暗示。

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