第15話
「リアム君。私も君のことは立派な青年だと思っているが結婚となると話は別だ。そもそもスカーレットは婚約破棄されたばかりで、冷静に考えられる状態ではないのだ。スカーレットを思うなら、少し日を置いてくれないか」
祖父は厳しい顔になり、至極もっともなことを言う。
「ファブレー前侯爵。失礼をお許しください。貴方のおっしゃることはもっともです。しかし私は思いつきで申し上げたわけではございません。ずっとスカーレットに伴侶になって欲しいと願い続けてきたのです」
「いや、そう言ってもな」
祖父は腕組みをして難しい顔をしている。
横から祖母が明るい声で言った。
「そんなに難しく考えなくていいじゃない。それよりスカーレットの気持ちが一番大事だわ。スカーレットはどう思っているの?」
祖母が尋ねると、その場にいる全員の視線がこちらに集中する。
リアムは真剣で、どこか緊張した眼差しでこちらを見ていた。
突然そんなことを言われても、私はすでにいっぱいいっぱいだった。
私だってリアムにはずっと会いたかったけれど、結婚したいかどうかなんていきなり聞かれてもわからない。
十一歳からダリウス様の婚約者になり、将来が決まっていた私には、誰かを好きかどうか考える暇なんてなかった。
「わからないです、そんなこと……! 少し一人にさせてください……!」
私はそれだけ言うと、耐えられなくなって応接間から逃げるように立ち去った。
後ろからリアムが呼ぶ声が聞こえたけれど、振り返ることすら出来なかった。
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