黄昏

在原銀雅

黄昏

私は黄昏時の空が好きだ。西の空が淡い青と淡い黄色、黄緑、橙、赤と色は少ないが虹を彷彿とさせるこの空の色が私は好きだ。


 朝焼けの空にも負けないが朝焼けはいささか早く起きなければならないが、黄昏時の空は仕事帰りで見れるのでとても楽だ。

 

 黄昏時といえば、古くから妖怪を見たりすることからも逢魔が刻や誰そ彼とも言われている。


 私は幽霊などを信じていない。幽霊はいる人と言う人もいればいないと言う人もいる。私がいないという理由は私自身、幽霊を見たことがないからだ。見たこともない存在をいると言われても信じられない。


 私は、別に怖い話は嫌いではないが、ただ本当かどうかわからないだけだ。


 実際に…ん?今のは誰だ?人間?とは少し違った気がした。男だが纏っている雰囲気が明らかに違ったのだ。フードを深くかぶり顔は見えなかったが、いかにも怪しかった。


 私は気になったのでその男についていくことにした。人々は皆、私とは逆方向に歩いていき、とうとう自分と同じ方向に歩いていく人はいなくなっていった。そして、私は車道を見た。だが、車も走っていなければ、反対の歩道にも人がいなかったのだ。


 どんどん、空気が悪くなっていき、自然と、不安な気持ちや焦燥感が出てきた。引き返そうと後ろを見るが誰もいなければ町は暗く、画質の悪い写真を見ているのかと言うほど見えている世界が鮮明ではなかった。


 すると、先程までいなかった人が急に現れたのだ。私は不安の気持ちが無くなり、先程の道を歩き続けた。しかし、街を歩いている人達の顔は皆白い。まるで”死者の顔”を見ているような…


 いつの間にか、私は知らないところを歩いていた。山なのか森なのか分からず、所々歩きにくかったりしたが、なんとかその森を抜けることが出来た。


 次は大きな川に直面した。ここの川を泳いでわたるのはとても無理だろう。どうしようかと考えていたが、その考えは目の前でなくなった。そこには舟があったのだ。この舟でならこの川渡れるそう思ったが、ここの管理者だろうかの男が私に話しかけてきた。

「ここを渡りたければ、285円払ってもらわんと舟は出せんぞ」と言われたので私は財布からちょうど285円ピッタリあったのでそのまま出し、舟に乗った。さっきいたところから離れていく。元いた場所に戻れないような感じがした。


 そうして、気がつくと私はまた知らない場所にいた。そこには爺ちゃんと婆ちゃんがいた。


 私はそこでようやく気づいた。 

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黄昏 在原銀雅 @arigin1017

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