第5話 分かれ道2〜ラルム、カウル、リス、ヴィーシュナ〜
キルシェがダンジョン攻略をしていたちょうどその頃…ラルム、カウル、リス、ヴィーシュナの4人は高さがバラバラな壁で囲まれた迷路の中にいた。
ヴィーシュナ「うーん…さっきからずっと同じとこ回ってない?」
リス「景色がずっと同じだからね…」
カウル「なんで、ここら辺の壁は全部大きさがバラバラなんだろう」
ラルム「あれちゃう?インテリアというかオシャレというか、そういう感じのやつ」
ヴィーシュナ「分かるような、分からないような…?」
リス「い、言いたいことは分からなくもないよ!デザインのことを言ってるんだよね」
ラルム「それそれ。にしても、どうやったらこんなバラバラになるんだろ」
カウル「1回高い壁を作ってから、全部壊したんじゃない?」
ラルム「脳筋過ぎるやろ」
リス「効率悪くない?」
ヴィーシュナ「もっと良い方法あるって」
カウル「そんな言うことないじゃーん!さすがに冗談だよ!」
ラルム「分かっとる分かっとるwww」
リス「さすがにね」
ヴィーシュナ「ごめんごめん」
カウル「むー…」
カウルが頬をふくらませる。
ラルム「あとでなんか奢るけん許してや」
カウル「え!マジで!?」
リス「じゃあクッキーとキャンディとチョコレートと〜」
ヴィーシュナ「ハンバーグとパフェと車と〜」
ラルム「待て待て待て。なにさらっと便乗しとんねん。それにヴィーシュナ、車使わんやろ!」
ヴィーシュナ「もしもの時に備えて!」
リス「ヴィーシュナ、免許持ってたっけ?」
ヴィーシュナ「…モッテルヨ」
カウル「目合ってないしカタコト!オバケの話した時のキルシェみたいになってる!」
そんな話をしながら迷路を進んでいると…
コツン、カツン…
リス「ん?今、何か聞こえなかった?」
ヴィーシュナ「別に?気のせいじゃない?」
カウル「ここ古いし、雨もりでもしてるんだよ」
ラルム「雨は降ってないけどな」
コツンッ、ガツン…
リス「…ホントに気のせい?」
ヴィーシュナ「な、なんか聞こえたね…」
カウル「うーん…気のせいにしたい…」
ラルム「ちょっと見てくるわ!」
ラルムはそう言って、低い壁によじ登った。
ラルム「うわーーー…ここひっろ…。って、あれは…?」
カウル「ラルムー、なんか見えたー?」
ラルム「見えたけど…なんか、よく分からん」
リス「え?」
ヴィーシュナ「どういうこと?」
ラルム「なんか、土でできた武士みたいなんがめっちゃうろついとる」
リス「…それ、どういう状況?」
ラルム「分からん…」
カウル「私たちに気づいてる?」
ラルム「いや、何も反応ない」
カウル「ならいけるんじゃない?敵対してる訳じゃないし」
ラルム「それもそうやな。行こか」
ラルムが壁から飛び降りた。
その時
カタンッ
何かを、踏んだ。
ラルム「…え?」
リス「なっ…なに踏んだの?」
ヴィーシュナ「なーんかヤな予感するー」
カウル「ワナ踏んだ?なーんて…」
ゴゴゴゴゴッ!!
カウルがそう言った直後、辺りを囲んでいた壁が全て下がった。
「「「え」」」
四方八方を歩いていた土の武士の目が、一斉にこちらに向けられる。
リス「「…フラグ回収、ちょっと早すぎない?」
ラルム「フラグ立ててから1秒くらいしか経ってないで?」
ヴィーシュナ「フラグ回収最短記録更新じゃない?」
カウル「嬉しくなーい!!!」
壁は10秒ほどで元に戻ったものの、4人は頭を抱えていた。
ラルム「…あれ、絶対バレたよなー…」
リス「敵対するのかな?」
カウル「あの目は絶対友好的ではなかったよ?」
ヴィーシュナ「とりあえず、ここから離れよう。ずっとここにいたら危ないよ」
リス「それもそうだね。早く進んで、この迷路から出よう」
4人の意見が一致し、進み出したその矢先、曲がり角から土の武士が歩いてきた。
その目は赤く光っていて、とても鋭い。
ヴィーシュナ「いっ…!」
ラルム「ヤッバ!」
リス「見つかるの早いって…」
カウル「どう…する?」
ラルム「そうやなぁ…。今はともかく…」
「「「逃げる!!」」」
4人は一斉に武士がいるのとは反対方向に駆け出した。
カウル「なんでこうも簡単に見つかっちゃうのかねぇ」
ヴィーシュナ「まぁ、さっきので居場所バレちゃったからね。それで追ってきたんじゃない?」
リス「十中八九そうだろうねぇ」
ラルム「そんな悠長な話しとる場合か!」
武士はガシャガシャと音を立てながら4人を追いかけて来る。
ヴィーシュナ「足はそんなに速くないみたい」
ラルム「おっしゃ!これなら逃げ切れ…」
カチッ
「「「…へ?」」」
ラルム「げ!またなんか踏んだか!?」
ヒュンヒュンッ!
「うわぁ!矢!?えっなんで!?」
遠くの方で、聞き覚えがある声が響いた。
リス「…ん?なんか聞こえたね」
カウル「さっきの声…どこかで聞いたことあるような…」
「そりゃあるだろうね!」
頭上で、さっきの声が響いた。
上を見ると…
ラルム「どこ走っとんねん」
壁の上を、白黒の子が飛んだり跳ねたりしながら駆けていた。
そのローブには何本もの矢が突き刺さっている。
「仕方ないじゃーん。下の道は狭いから、私が降りたら走れなくなっちゃうよ」
ヴィーシュナ「それもそうかぁ」
リス「でも、そんな目につくところを走ってたらさっきの武士が…」
「あ、それは大丈夫。あの人形たちは、自分の目線の範囲しか認識できないからさ」
カウル「へぇ〜。そうなんだ〜」
「そうそう。…っていうか、さっき誰かワナ踏まなかった?ナゾの矢が飛んできたんだけども」
ラルム「ごめん。ウチやわ。めっちゃボロボロになっとるけど、いけそう?」
「あー、大丈夫大丈夫。やられたのはローブだけだから。気にしなくて良いよ!」
ヴィーシュナ「いいんかい!」
「いーのいーの。そんなことはさておき、あの武士達が一気にこっち来てるよ。みんな、このままこの迷路を抜けられそう?」
ラルム「迷わん限り!」
リス「迷わない迷路は果たして迷路と言うのか…?」
「…五分五分ってとこみたいだね。まぁ、ここの迷路複雑だからなぁ…。私も3日くらい出られなかったんだよね」
カウル「それなのになんでいるの」
「え、なんでと言われても…赤いトビラに進んだキルシェたちに巻き込まれたからだよ?」
ヴィーシュナ「君…不運だねぇ…」
「いつものことだから全然良いんだけどね。あ、そうそう。話がそれちゃったけど、この迷路ってちょっとしたコツがあるんだよ」
リス「コツ?」
白黒の子は、遠くに見える大きな金色のトビラを指さした。
「あそこに金色のトビラがあるでしょう?あそこがゴールなんだけど、あのトビラが常に目の前に来るように進めば自然とこの迷路から出られるんだよ」
ヴィーシュナ「なるほどなるほど…そんなコツが…」
「この迷路の攻略方法は分かってもらえたかな。じゃあ、私はこれから雑用を済ましてくるからあとは4人で頑張って!この迷路を抜けられたら、青いトビラの奥に来てね。じゃ、ご武運を!」
白黒の子は言いたいことだけ言って、壁の反対側へ飛び降りてしまった。
ラルム「相変わらずやなぁ…」
ヴィーシュナ「自由な子だよね」
リス「…とにかく、ここから出ようか」
カウル「トビラを常に正面にって言ってたよね」
ラルム「ホンマにいけるんかなぁ」
ヴィーシュナ「経験者は語るってやつじゃない?」
そうこう言いながら走ること数分…4人は本当に出口に辿り着いていた。
ラルム「おぉー、ホントに着いた」
リス「あの子が言ってたこと、本当だったんだね」
カウル「…遠くの方で、ガシャガシャいってる。早く進んだ方がいいと思う」
カウルがトビラの取っ手に手を掛け、力を込めた。
が
カウル「…あれ?」
ラルム「どしたん?」
カウル「トビラが、全然開かない」
リス「え?うそ。…うわっ、全然動かない!」
ヴィーシュナ「よ、4人で一斉に力入れてみよう!せーの!」
「「「……」」」
4人が力を入れても、トビラはビクともしない。
後ろにはもう、何体かの武士人形が迫ってきている。
カウル「どうしよう…!」
ラルム「…もう、しゃーなしやで!」
「「「え?」」」
ラルム「3人ともそこから離れて!」
ドォン!!
「「「ええぇぇぇえぇーーー!?!?!?」」」
ラルムが撃ったBB弾は、見事にトビラを消し飛ばした。
リス「そのBB弾、特別な力が加わってる訳じゃなかったんだ…」
ヴィーシュナ「本来の力がその威力って…どうなってんの…」
カウル「改めてみるとぶっ飛び性能してるよね…ラルムの銃って…。もはや普通のピストルよりも脅威じゃん…」
ラルム「細かいことはええからはよ行くで!にげたもん勝ちや!」
4人は、トビラの奥へと駆けていった…。
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