第3話
夏休みはなんの予定もなかった。というのも、精神錯乱により休学になっていて、合宿も補修もないのである。悲しさよりも虚無感があった。先生のもとへ車で向かうときにも、悲しさよりも虚無感があった。
先生は私をストレスからくる統合失調症だと診断した。まったくもって心外だが、どうしようもなく、弁解しようにも墓穴を掘ってばかりで(私は病気の自覚はないので心当たりなどないが、どうも私の発言が可笑しいらしく、反論する度十倍で返されるので、"墓穴を掘っている"のだと思う。)、その病名を背負って生きている。___生きている?私は"生きている"と考えて生きているのではない。"存在していない"と考えている。いや、生きているのに違い無いが、どうも生きている心地がしないのだ。
今日も彼女の目がこちらを睨んでいる。私は生きてはいけない、存在しない。いっそ殺してくれた方が幸福なのだ。尊厳死が必要なのだ(私に尊厳などないようなものだが。)、人間など他を不幸にばかりするのだから、幸福以上に不幸を与えるのだから、皆死ねば良いのだ!
つくづく思うのはこのことで、人間は一人の相手を幸福にしても、気付かぬうちに他を蔑ろにしているのだ。男が一人の女を愛そうが、男に選ばれなかった女、女を愛していた別の男、愛に劣等感を覚えたみすぼらしい人間は不幸になるのだ。皆死ねば良いのだ。人間など生まれるべきではなかったのだ。
自死による思考の揺れについて 樋川 @ariari_sousaku
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