あとがき
『歴史の静寂 ~前橋、記憶の夏~』を最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
この物語は、1945年夏、戦争の影が色濃く差す前橋の街で、菓子屋を営む源さん一家の日常と、彼らが体験した前橋大空襲を描いたものです。特別な英雄がいるわけではありません。そこにいたのは、私たちと同じように、大切な人を守ろうと必死に生きた、市井の人々です。
物語を通して、私たちは源さん、ハナ、正一、美佐子、そして幼いケンちゃんそれぞれの目を通して、日増しに募る不安、食料や物資の不足、空襲への恐怖、そして何よりも「明日」が見えない中で家族を守ろうとする強い想いを感じてきました。
8月5日深夜、前橋の街を焼き尽くした炎は、彼らの日常を、そして多くの命を一瞬にして奪い去りました。焼け野原となった街の光景は、言葉にできないほどの悲しみと絶望を私たちに突きつけます。
しかし、この物語は絶望だけで終わるものではありません。焼け跡に立ち尽くす源さん一家の姿は、決して諦めない人間の強さ、そして生き残った者としての、未来へと記憶を繋ぐ責任を示唆しています。戦後79年が経とうとしている今、戦争の記憶は薄れつつあります。しかし、あの日、この前橋の街で何が起こったのか、人々が何を思い、どう生きたのかを忘れてはなりません。
この物語が、平和な日常の尊さ、そして二度とこのような悲劇を繰り返さないことへの願いを、読者の皆様の心に刻むきっかけとなれば幸いです。
歴史の静寂 ~前橋、記憶の夏~ 須藤 @blendyz
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