dragon wizard
彩良
第1話
太古の昔、大陸は数多の小国に分かれ、争いを繰り返していた。
ある時、或る魔術師が現れ、争いを治め、いくつかの国を一つの国に統一した。
魔術師はその国の王となった。
その国は、ルーン王国と名付けられた。
やがて魔術師と女の間に子供が生まれ、彼もまた魔力を持っており、魔術を使うことができた。
魔術師の死後、王位は子供に受け継がれ、そのまた子供も魔術を使用し、王の座を受け継いだ。
そうして2千年の時が流れた。
「火炎よ、踊れ。ルーンに栄光を!」
第125代ルーン国王、暁斗。
そして、長女杏樹12歳、長男龍斗8歳。
今日は次期国王の任命式。
この任命式で指名されたものは、魔術師と王になる修業に入る。
ただし代々、王となる魔術師は男。
しかも、杏樹はまだ魔力が弱い。
弟の龍斗の方が成長も早く、男であり、次期国王になるのは龍斗だと決まっているようなものだ。
「ここに、次期国王を指名する。次期国王は、杏樹とする。」
「えっ!」
城の前の式典会場がざわつく。妃の有亜(アリア)が叫んだ。
「あなた、どうして…!」
「神のお告げがあった。国を救うのは、杏樹だ。」
「まさか…。だって、杏樹にはそんな力は…。」
「杏樹、お前はいずれ王として国を救うのだ。龍斗は剣士として、杏樹を護れ。」
龍斗が唇を噛み締めた。
呆然とする杏樹。
ここに、新たなルーンの歴史が始まった。
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