ウィンカーズ探索隊
僕の所属している組織。ウィンカーズ探索隊。
幼い頃の記憶は曖昧だけど、いつの間にか所属していた。僕以外にも色んな種族の人が居る。皆同じ共通語で話をするから何も苦ではない。
ウィンカーズ探索隊は探索、研究、救護など、色んな分野の人達の集団。助け合うのがモットー。
地下都市に戻り、移動式探索機から降りると、安堵し、リューイの居る研究室に向かう。
リューイは自我を持った頃からの幼なじみだ。
「お疲れ様です。どうですか?進捗の方は。」
「おつ。いやー、これは大発見ですぞ!文献書というものでござるなぁ。」
文献書?興味津々で彼に聞く。
「簡単に言えば論文、記事、書籍……みたいなものを文体的にまとめたものですな。どこにあったのでござるか?」
「これはショッピングモールという場所です。今で言う異空間通販……みたいなところですかね?」
異空間通販とは異空間にある店舗から物を取り寄せれる売買所のこと。僕らの食物である、スパウトパウチや、服などの色んな物を売ってる何でも屋さんのようなところだ。
買い方は簡単。
グリッドボードと呼ばれる端末機から、異空間通販を検索すれば、その場で買い物が瞬時にできる。今のご時世、なくてはならないツールだ。
グリッドボードは他にも調べ物もできるし、地上の汚染濃度も測ったりとリューイよりも便利……
「あのー、カナタ氏。そのグリッドボードは僕が開発したものですぞ?」
「そうでしたね。こちらは、地上がとても興味深いものばかりでして。とても毎日が楽しいですよ。」
「全く……カナタ氏は本当に好奇心旺盛でござるなぁ。」
僕の好奇心は尽きない。
生まれてから、勉強は地下の生活ことばかり。
地上はとても危険な区域だということを知ってから、もっと好奇心が沸いた。僕は好奇心の塊だ。
僕のチーム名は『ウインカーズ探索隊』。
前も話したように物心が着く頃にはチームに所属してた。
そして、月日が流れ今は僕とリューイは19歳となり、地上の汚染も体にはあまり影響が出ない歳となった。
ウインカーズ探索隊は、地上の探索が主にだけど、地下の捜し物のお手伝いもしたりする。
迷子のペットの動物だったり、無くしたものを探したり、亡き人の遺品の復元など。
とりあえずほぼ『何でも屋さん』で通っている。
それでも僕はこの仕事が好きで誇りに思っている。リューイの頭脳と僕の好奇心で、何でも解決してきたのだから。
「リューイ。貴方はこの後時間ありますか?僕のゲームのお手伝いして欲しいんです。」
「あー……またアレですかな……?アレはさほど難しくないはずなんだが……?」
僕はゲームも好きだから、彼に手伝ってもらう。彼が発明したものは飛ぶように売れるし、生活必需品なものも開発できる。
こればかりは僕も頭が上がらない。
「ええ、アレです。リューイとゲームで共闘するところがたまらなく好きなんですよ。」
君も変わってるね。と苦笑される。
世界の少子化は限りなく続いている。
どうやらその始まりは『日本』という地上の国だった。
今のこの地下の世界は『アーリー・ガバナンス(萌芽の統治)』という名で通っている。
1度死んだ世界をここから作り出す……というのが目標らしい。
氷河という大きな氷の土地さえ、溶けてしまったくらいなので、当時の世界地図より陸の部分も7割も海の底になった。
その『日本』という国も、今は海の底。
今、アーリー•ガバナンスがある場所は昔『アメリカ』という国があったところに位置するようだ。
と言っても僕やリューイにはちっとも分からない。
そんな時代から生きてないからというのが最もかもしれないけど。
そういう意味では無い。そうじゃなくて、彼も僕も地上を知らな過ぎているからだと思う。
僕はリューイとゲームをすることの目的で研究室から出た。
そして、他愛無い話をしながら、歩いてリューイと僕の家に向かう。
家と言っても他の人も住むシェアハウスみたいな場所。なので、同じ家なのだ。
防音効果は抜群。騒いでも誰も怒らない。
怒るような人は居ない。
「おかえり、リューイ。カナタ。」
同じシェアハウスで住む、リウが駆け寄ってきた。
「おや、ご苦労様です。リウ。何をしてたんです?」
「今日はね、マサンと、私で歴史のデータを拾い集めて、ピースごとに並べる作業してたの。ゲームみたいで楽しくて。」
肝心のマサンは居ない。
「おや、彼が見当たらないですね?またお昼寝ですか?」
「あはは、すごいねカナタ。そう。マサンは途中で飽きて寝ちゃったんだよ。カナタみたいに熱中できるものがなーいって言ってね?」
「やはりですか。彼の性格は良くも悪くも熱しやすく冷めやすいですから。」
にっこり笑った。リューイも吊られて笑う。
「真反対ですなぁ。カナタ氏とは。」
イヒヒ……と少し不気味そうに笑う。
「さて、リウ。あなたもやりますか?ゲーム。」
「あー……ごめんね、そういうの得意じゃなくて。今回も遠慮しようかな。」
「そうですか。いえ、皆さん多少なりと苦手なものありますからね。では、また。」
「うん、リューイ、カナタ、またね!」
話が済めば僕らはシェアハウスの中へ入っていく。少し暗い廊下を通り、さらに地下に降りるエレベーターに乗り込む。降りた先角を右に曲がった先に、2人の住む部屋にたどり着いた。
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