リアリティと面白さの境目

人間の姿をしたおぞましい怪物に対して田中、父親がどう動くのか、ハラハラドキドキの物語
出てくる女性たちもみんな良い子であり守りたくなるような存在ばかりで登場人物全員が活き活きしていますね
彼らが連絡を取り合い束となって「敵」に立ち向かうのは爽快です

ただ気になったのが、順佑が妄想と現実の境がつかず天津姉妹を襲おうとしたシーンですが、実際にひきこもりがここまで積極的に動くかな…?と思った次第です
この手のタイプは自分よりでかくて元気な女性を見たら黙りこくると思います
勿論物語を面白くすることと、父親が順佑を放逐しない理由付け(ほっといたら女を襲う)のためとは思いますが…
拒絶された時の反応は妙にリアルではありました
個人的には「たまに外に出ては近所の高校を眺めている」という設定にしても良かったと思います
(追伸 小説の中で理由を説明いただきありがとうございます、腑に落ちました)

田中が順佑を気遣う理由もかなり不自然でというか、良いやつ過ぎます
博愛主義者というんでしょう、彼の生い立ちも気になりますね。

どこまでリアリティをもたせ、どこから現実離れさせるか、難しいところですね
ですが冒頭で述べたとおりハラハラドキドキはしますので、応援しております
例えこの小説が売れる、読まれることを二の次としたものであっても…

このレビューの作品

反省零の業人譚