第43話 希望の訪問
「ねえ、
セイラが、隣を歩く
「あの
「……えっ。(マジかよ……)まあでも、今は、いじめられてたわけだし……。同じ文芸部員として、早く学校に戻ってきてほしいよね」
「……でもさ。うちらの、新たなるライバル出現、って感じじゃない? ただでさえ、強力なライバルが、すぐ身近にいるっていうのにさ……はぁ」
「は? ライバルって、何の話?」
「ふーん。まっつん(
「主語がないから、イミフなんだけど」
「……まっつんも、そういうとこだよ。人のこと、全然言えないよね」
「どういうとこだよ! もう!」
「この前、路上で助けてもらったって、言ってたじゃん」
「……う、うん」
「そいつのことだよ」
「「はぁ……」」
「おい、何、後ろでひそひそ話してんだ? 今日の晩ご飯のこととかか?」
絶妙に悪いタイミングで、
「そんな話してねーよ!」
セイラが、呆れ顔で言い返した。
「じゃあ、なんだよ」
「相変わらず、ハルっちは、鈍感なくそ野郎だなって話」
「は!? あたし、そんなこと言ってないんだけど! 別に、ハルトはくそ野郎じゃないし!」
「へえ、うちに合わせないんだ。そうなんだ。ふーん。……変わったね、まっつんも」
「まあまあ、二人とも、喧嘩しないの」
「「
「いきなり、なんだよ! ……ほら、喋ってるうちに、もうすぐ着くぞ」
しばらくして、
「この度は、大変、申し訳ございませんでした。私は、
それに続き、生徒たちも、声を揃えて頭を下げる。
「「「申し訳ございませんでした!」」」
「……どうぞ、お顔を上げてください。そう言っていただけるだけでも……きっと、あの子は救われると思います。本日は、わざわざご足労いただきまして、本当に、ありがとうございました」
その時だった。玄関のドアが、ゆっくりと開いた。
「
そこに立っていたのは、涙を浮かべた、
「
「先生は、何も悪くないよ! みんな、私のために、来てくれたんだね。本当に、ありがとう……!」
「無理しないで、いいからね。ゆっくりで、いいから。また、部室で、みんなで楽しくお話できたら、嬉しいな」
「めぐ姉ちゃん……! 大好きだよ! ありがとう!」
「もう、めぐみ、とか、めぐっちでいいんだよ。四ヶ月しか違わない、同級生なんだから。ふふふっ」
「だって、わたしにとって、めぐちゃんは、優しくて、大好きなお姉ちゃんだもん」
「……わたし、全力で
「うぅぅ……。学校に、行く勇気が、出るかも……。本当に、本当に、ありがとう……!」
感動的な雰囲気に、全員が涙ぐんでいる。その空気を、一人の男が、大きな声で打ち破った。
「先生! 今から、約束の焼き肉、行きますか!」
「お母様。もしよろしければ、今から、お嬢さんを、私達とのお食事にお連れしても、よろしいでしょうか?」
「はい。でも、先生のご負担になりませんか?」
「それは大丈夫です。私は、有言実行だけが取り柄でして。少し夜が遅くなるかもしれませんが、責任を持って、私がご自宅までお送りいたします」
「ありがとうございます。……よろしく、お願いします」
「お母さん! じゃあ、行ってくるね!」
「ええ、行ってらっしゃい」
文芸部員、全員の笑顔が弾けた。
その笑顔は、夕焼けの、赤い柔らかな光の中に、ゆっくりと溶け込んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます