第38話 試練を乗り越えろ
放課後の野球グラウンド。
当初は、俺と
だが、
ファーストのポジションに、
ノックを打つのは、俺、
そして、セカンドのポジションに、
「……俺のために、みんな、集まってくれて、ありがとう!」
「おう! さあ、気楽に行こうぜ!」
俺が声をかけるが、
何球かノックを打ってみたが、やはり、
一塁への送球が、ことごとく暴投になる。
「――なあ、
そして、俺はギャラリーに向かって叫んだ。
「お集まりの皆さん! どうか、
「頑張って!
それに呼応するように、いつの間にか、
だが、あの謎多きクールビューティー、
(文芸部の人たちは、個性的で一見バラバラだけど、こういう、仲間を想う熱いところが好きだな。……まあ、
「文芸部の皆さんの応援、きっと
「い、いえいえいえ! これは、生徒たちが自主的にしたことで、私は何も! ただ、人のために何ができるかを考え、それを素直に実行できる生徒に育ってほしいと、常日頃から思ってはいますが……」
「素敵な向き合い方ですね。あなたが執筆されている作品のように、繊細で、温もりを感じます。その謙虚な気持ちは、きっと生徒たちにも伝わっていますよ」
(しゅき、しゅき、しゅき……! あー、もう、しゅきが止まらない! 今夜、夜のデートに誘って! もちろん、一つ返事でOKですわよ! あー、しゅきしゅぎるー! でも、
「行くぞ! 集中、集中!」
俺の、元気な声がグラウンドに響く。
俺はセカンドゴロを打ち、一塁へ向かって全力疾走する。
野球部を辞めてからも、筋トレやランニングは続けていたが、何度も繰り返す全力疾走に、足がもつれ、つりそうになる。学生服のまま、何度も地面に転倒しながらも、必死に一塁を目指した。
そんな俺の姿を見て、いつしか、周りは
(……なんだよ。結局、
その瞬間、
センター前に抜けようかという速いゴロを、
「「「ナイスプレイ!」」」
やんややんやの喝采。主役の座は、再び
「その調子だ! もう一回行くぞ!」
次は、一二塁間を抜けるようなゴロ。
もう、彼の姿に、イップスの面影はなかった。
「よーし、仕上げだ!」
「すまないが、
「はい! お任せください!」
「
「はい!」
「
「はい!」
「実践形式で、6-4-3のダブルプレーを完成させる! 気合入れて行くぞ!」
「「「おう!!」」」
監督が打ったのは、緩いショートゴロ。強い当たりよりも、ゲッツーを完成させるのが難しい、試練の打球だった。
ショート
セカンド
ファースト
全力で駆け抜ける
「よーし! 完璧な6-4-3の完成だ! お前ら最高だ! 来年は、絶対に甲子園で優勝するぞ!」
「「「おう!!」」」
野球部ではない俺と
「お疲れさん! 俺は今、最高の気分だ! だから、ここにいる全員に、ハンバーガーを奢る! ポテトもドリンクも、ナゲットもだ! 遠慮なく、腹一杯食いやがれ!」
「「「やったー!!」」」
「……あ、その前に、
心配そうな顔をした
「膝、怪我してるでしょ。
「いえ、これくらい大丈夫ですよ」
「いいから。……
「あ、
「ほら、両膝とも血が出てるじゃない……。はい、これでよし。……でも、君の、そういう無鉄砲なところとか、熱いところ……私、結構、好きだわ。むしろ、大好きかもしれない」
その言葉に、周りの時間が、一瞬、止まった。
「えっ……? せ、先生……。お返事は、もう少し、考えさせてください……」
俺が、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて言うと、
「いきなり告白っすか。先生も、大胆ですよねぇ」
セイラが、口元を押さえて、笑いをこらえている。
「は、はぁ!? これは、話の流れでしょ!
周りは、もう、必死で笑いをこらえている。
「あのー……すみません、
「なっ……! 俺は今、
「「「わはははは!!」」」
「こ、コラー!
「もう、俺は、
「こらー!
「ツンデレな
「「「ははははははっ!!」」」
「こら!
この後、一行は某有名ハンバーガーチェーン店に雪崩れ込み、
夕焼けの空の下、「また、明日」と手を振り合う彼らの影は、いつまでも、楽しくリズミカルに揺れ動いていた。
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