第34話 新田 利香視点①

新田利香にったりかの視点


 ちゃんと言わなきゃ。松島まつしまセイラさんに、謝らなきゃ。

 ――うち、勇気を出せ!


「あの……昨日は、楽しかったね」


「うん! 利香りかちゃん、またカラオケ行こうよ!」


 セイラは、屈託のない笑顔を向けてくれる。だからこそ、言わないと。


「……ごめんなさい! 本当に、ごめんなさい!」

 私は、勢いよく頭を下げた。


「えっ、急にどうしたの?」


「Xで、セイラのこと、酷いこと書いて……」


「……ああ、そのこと。もう、いいよ。あたし、小学校の頃にいじめられてたことがあって、正直、少しだけ、その時のこと思い出しちゃったけど」


「本当に、ごめんなさい……! あの時の私は、どうかしてました。謝って許されることじゃないと思うけど、本当に……」


「好きだったんでしょ。西園寺さいおんじのこと。……気持ち、わかるから。だから、もういいよ」


「……ごめんなさい。……そして、ありがとう」


「ていうか、西園寺さいおんじの、どこを好きになったのよ?」


「……ビジュ(見た目)いいし」


「だよねー。読モやってるだけあって、外見は良いもんね。まあ、あいつとは幼馴染みなんだけどさ。高一の時、告られて……その、体の関係? みたいなのを求められて、断ったんだ。そしたら、急によそよそしくなっちゃって。純粋で良いところもあるんだけど、そういうとこ、あるから。今は、ちょっと距離置いてる」

「でもね。小学校の頃、あたしがいじめられてる時、助けてくれたのも、あいつだったんだ。だから、その恩もあって、ずっと、ちゃんと振れなくて……。あたしが、はっきりしなかったから、利香りかちゃんにも、迷惑かけちゃったかも。あたしの方こそ、ごめんね」


「……うぅぅ」


「薄々、利香りかちゃんがやったのかなって、感じてはいた。でも、こうやって勇気を出して、謝ってくれて、すごく嬉しい。あたし、帰国子女で、性格がキツいって言われるけど、これからも、友達として、よろしくね」


「はい……! こんな、性格が終わってるバカですけど、よろしくお願いします! 改めて、うちと、友達になってください!」


「うん! じゃあ、早速、またカラオケ行こ!」


「次は、採点勝負ね! ちな、うちが勝つから! 過去最高得点、叩き出すし!」


「そマ?(それマジ?) あたしだって、まだ隠してる得意な歌、あるんだからね。負けないよ!」


「「ふふふっ」」


 松島まつしまセイラは、太陽みたいに、キラキラした笑顔を向けてくれる。

 だからこそ、誓った。西園寺さいおんじのことは、もう忘れよう、と。


(それに、今は、気になってる人がいるから。きっと、忘れられる……。ごめんね、セイラ)


 二学期、ある日の放課後、校舎裏。


遙人はると、みーっけ!」


「あ、新田にったさん」


「何してんの?」


「えーと、ゴミ捨て当番でさ」


「ふーん。じゃあ、今は暇なんだ。……ねえ、スマホ、貸して?」


「え、なんで?」


「いいから! ……はい、メルアド交換、完了!」


「えええええ!?」


「……駄目だった?」


「いや、別にいいけど……。返信、遅くなるかもしれないぞ」


「じゃあ、ちょっと待って。これ、見てくれる?」

 私は、スマホの画面を彼に見せた。


「え、これって……コスプレ?」


「……うん。実は、うち……アニオタなんだ」


「へえ。いいと思うけど。まあ、俺もだし。意外だな、そんなイメージ、全然なかった」


「でしょ! ダンスやってるのも、本当は、踊れるコスプレイヤーになりたいからなんだよね」


「なるほどな。……うん。このコスプレも、すごく似合ってると思う」


「……え、もしかして、うちのこと、口説いてる?」


「いやいやいや、ないないない!」


「……そっか。でも、普通に、嬉しい。……あのさ、メールでよかったら、アニメの話とか、してもいいかな?」


「うん、楽しそうだし、大歓迎だ。でも、俺、色々やることが多くて、返信が遅くなると思うけど、それでもいいか?」


「もちろん! ……あのさ」


 今だ。言うんだ、うち。


「……いや……。あの、もし、迷惑だったら、全然、断ってくれていいんだけど……」


「どうした?」


「今度の、日曜日……」


「日曜日?」


☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆


新田 利香

https://kakuyomu.jp/users/aoisorakirei/news/16818792436720676365


コスプレ

https://kakuyomu.jp/users/aoisorakirei/news/16818792439342830972

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