第21話

「人と関わるのをやめたら、自然と泣かなくなった」

 私が話し終わると、ドロップはゆっくりと頷いた。

「でも今回、久しぶりに友達ができて浮かれてた。そしてまた傷ついちゃった。やっぱり、友達は作るべきじゃないね」

「そうでしたか」

 ドロップの声は、凄く優しかった。

「雨音さんは、良い経験をしましたね」

「え?」

 私はベッドから起き上がり、ドロップを見る。

「なんで?」

 私が聞くと、ドロップは微笑んだ。

「今まで付き合ってきた方々は、お友達ではないと気づけたからです」

「違う。私は友達だって思ってたよ?」

 私が言うと、ドロップはゆっくりと首を振る。

「いいえ。違ってません。なぜなら、雨音さんに友達は作るべきではないと思わせたからです」

 そう言い、ドロップは続ける。

「それは、雨音さんが相手から意味もなく傷つけられたからです。お互いに傷つけあう喧嘩ではありません。一方的に傷つけられるのはいじめです。そんなことをしてくる方々とは、友達である必要はありませんよ」

「そうなの?」

「はい。自分を守るために、友達になる人は選ばなければなりません。悪口で盛り上がるお友達よりも、幸せなことで盛り上がるお友達を探してください」

 私は頷いた。

「ありがとう」

 私はこの日、ドロップの言葉に救われた。

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