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「ちょっと待って!一度受けた依頼だから、無責任に放り出したくないんだ」


エリナの歩くスピードは速く、もう少し追いかけるのが遅れていたら人込みに紛れていたかもしれない。

小さくなってしまった背中を急いで追いかけてきたルイを、エリナはちらりと振り返っただけで、足を止めなかった。


「そう。なら、早いもの勝ちってことね」

「いや、君、協力って言葉を知らないの?」

「知ってる。目的に向かって力を合わせ、努力することで1人ではできないことを成し遂げようとすること。私は1人で十分だから必要ない」

「……うわ。返しが妹みたい」


思わず漏らした言葉に、鋭い視線が一瞬ルイを捕らえた。

しかし、すぐにまた真っすぐ前を見つめる。

そのまま黙って歩き続ける彼女の後を、ため息を一つして、ルイも黙って歩いた。


「……どこまで着いてくるつもり?」


もうすぐ、王都の門を出るというところで、エリナが足を止め振り返る。

顔には隠すことなく、面倒臭いという表情を浮かべている。


「僕も同じ依頼を受けたと言ったでしょう?目的地は同じだよ」

「邪魔しないでほしいんだけど」

「邪魔はしないよ」

「いるだけで邪魔」

「……危なくなさそうなら遠くで見てるだけにするよ」

「……だる」


そう言い捨てて、彼女はまた歩き出した。

……これは、追い返されることはない、ということでいいんだろうか。

しかしこれではルイが討伐の手助けをしたら、気分を害しそうだ。

いるだけで邪魔なんて、もちろん今まで言われたことない。

ルイはこれでも、ギルドの中ではかなりの腕利きで、魔法だって王都ではトップレベルだ。

依頼で頼られることはあっても、邪険にされたことなんて一度もない。


(……どうしたものか)


ルイもまた、ため息をついて彼女の後ろを追った。



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