《出典:長野県警 特殊資料管理室 提出物第C-49-3号》

供物の家 地下床下の隙間から発見された60分カセットテープ

再生形式:モノラル/テープラベル記載なし/録音年代不明(推定1970年代)

状態:物理損傷あり・巻戻し済

▶ 再生ログ01【開始0分00秒】

(白色ノイズ……)

(女性のかすれた声、遠くから)


「――こえが……だれの、なのか――わからない」

(長い沈黙)

(ドン……ドン……壁を叩くような低音)

▶ 再生ログ02【13分52秒】

(突然、小さな子どもの笑い声)


「かくれんぼ、まだ、おわってないの」

(ガタ……木材のきしみ音)

「あなたが みてるかぎり、ここにいられる」

(声が逆再生されたように崩れる)

「――ろこ か ま るてし がか な い ろな」

▶ 再生ログ03【28分41秒】

(無音に近いが、増幅処理により以下の声を検出)


「……わたしは、記録された。

あなたの声で。あなたのまばたきで。

いま、きこえているのは……あなたの、思い出。」

(ノイズ混じりに繰り返し)

「あなたの……おもいで……おもいで……おも……」

▶ 再生ログ04【44分12秒】

(マイクが何かを擦っている音/無人の録音の可能性)


「この部屋に、カメラはない。光もない。

それでも、記録される。

音も、影も、視線も、全部“眼”の中にあるから。」

(ここで“第三者の声”が割り込む。声質は、現代的)


「あのさ、これ……録れてんの?」

(※この音声は、2024年の配信者・ゆーたの発言と一致)

▶ 再生ログ05【58分19秒】

(時計の針の音、一定の間隔でチクタク)

(最後の声)


「このテープを、再生したあなたへ――

あなたが、次の記録者。

もう巻き戻さないで。終わりは、始まりになるから。」

(“カチッ”という再生ボタンの音で終了)

【備考・補足】

このテープは通電していない状態でも再生されたと報告あり(テープレコーダー内蔵電池なし)

音声中の「ゆーた」の発言は、1970年代製カセット内に存在するはずがない

聴取した職員の一名が「録音されていた声が自分の母親のものと同一だった」と証言

テープの最終部分には、肉声では不可能な**極低周波の脈動音(18Hz以下)が確認され、複数の技術者が「心臓の鼓動に干渉する」**と報告

この録音は現在、国家指定禁止記録物として厳重保管中。

一般への開示は禁止されているが、既に写しが流出している可能性あり。

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