第3話 初の東京

 美咲は駅から降りるも、戸惑いが隠せずにいた。

 目視する景色は普段と違い、高いビルやマンションが多くみられる。


 そして、ついに今、東京駅に着いた。


 初の東京、初の景色。

 美咲にとっては初のことで、いっぱいだ。


「さあ、ここからが本番ね。お父さんは北口にいるらしいから、そちらに向かおう? 手をつないで。絶対、迷子にならないでね」

 美咲は恥ずかしかったけど、母の言う通り手を繋いだ。

 迷子になって母が鬼になるのも嫌なので。


 しかし、この人気は恐ろしかった。

 この人気の多さには、歩きにくくて倒れてしまいそうだ。


 更に恐ろしいほどの看板の多さ、迷子になってしまいそうだ。

 そして、この人気の多さは、まるでテレビで見るSHIKAYAスクランブル交差点のようだ。


 北口に行き、父と合流して、そのあと杉並区という緑がいっぱいの自然にあふれた街に行った。


 杉並区に新たな家があるのだ。まるでツリーハウスのような家が。

 さらに、今までは体験したこともない3階建て。

 それに加え、この地震に強い素材。


 そして次の日。家族で近くのスーパーに行った。

 とても広くて、品揃えも多数ある。


 他にも、服を買ってオシャレをしたり、メイクをしたりした。


 その後、美咲は新たな中学校を見つけ、そこに通い始めると人気を多数もった。

 実は、この中学校、アイドルになるための学校なのだが、まだ家族は、それを知らなかった。


 色々な手段を試し、さらに可愛くなった美咲。

 熊山市に居た時の自分とは別世界のように楽しい。


 正直、熊山市には飽きてきたところだし、こういう都会に行ってみたいとも思っていたし。


 日常を満喫し、夏休みになった時、再び近くのスーパーへ買い物に行くと、格好いい男性が声をかけてきた。


「はい、なんでしょう?」

 母は問う。

「こういう者でしてね……」

 そう言いながら、男性は名刺を渡してきた。

 それは、凄く堅実な名刺で、そこには「杉並デビュー局」と書かれていた。


 「あまり大きな会社ではないのですが、どうでしょう?」


「どうする?」

 本物だ。本物に違いない。だから、やらない理由なんてない。


「いいよ」

「あなた、本気で言ってるの!?」

「うん、だって面白そうだし」

 母は溜息をつきながらもOKをした。


 その男性は、とても喜んでいた。

 因みに、レッスンは明日から始まるらしく休日や祝日は3時間、平日も3時間となっているらしい。


 ここから、美咲は本格的にアイドルになる為の道へと進む……。

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