日本一のアイドルになりたい!
@mikanusagi
アイドル編
第1話 熊山市
ここは熊山市にある、とある中学校。
そこには一人だけ、とても可愛い女の子が居た。
「美咲ー!」
そう呼んだのは洋子だった。
美咲と洋子は大親友だ。
ただ明日、洋子と離れてしまうことを、まだ美咲は知らなかった。
授業が終わり、美咲は速足で家へ帰った。家のドアを開ける。
「ただいま!」
「おかえり。ねえ、ちょっといい?」
「……いいよ」
こういう時は大体いい話ではない。
美咲はすぐに荷物を置き、部屋に入った。
「実はね、お父さんが急な仕事で東京に行かなくちゃいけないの」
母は真面目ながらも怪訝そうな顔で言った。
「と、東京!? あの大都会の!?」
「そう……」
東京なんてテレビでしか見たことがない。イメージとしては、とにかく高いビルが建っている感じ。
「それでね、今回の仕事は絶対に断れないみたいで……」
「で、でも……! すぐ、ここに戻ってこれるよね? ね?」
母は、しばらく黙り込んだ。母の表情は暗くなってきた。
「……もういい!」
反抗期だった美咲は、自分の部屋へと走り込んだ。
母は、こちらを向いていたが気にもしなかった。
私はベッドに乗り泣いた。
今までにないほどの涙だ。
恐らく、あの感じだと一生ここには戻れない。
だから、悲しく思えたのだ。
洋子のことが、走馬灯のように蘇ってくる。
いつの間にか眠っていた。
次の日の朝、美咲が目を覚ますと外が、やたらと煩かった。
どうやら、遂に引っ越しを始めたらしい。
私はベッドから起き上がり、急いで家の外に出る。
「あ、あの……最後に学校、行ってもいい?」
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