【詩集】いつかのわたし
雲霓藍梨
ずっと君が好きだった
小学校の時も中学校の時も、高校に入った後も。
近くに、遠くに。
君の存在を感じる度に。
私は目で、耳で。
君を追って。
君が他の人と笑う度に。
私は胸が、心が。
少し痛んだ。
自分のこの気持ちが。
何なのかよく分からなかった。
ドキドキ、と表現されるには、
あまりにも苦しい感情。
それは、
可愛らしいものなんかじゃなかった。
他の人を好きになっても、結局は君の事が好きなまま。
この気持ちが報われる時は来ないと、勝手に決め付けたまま。
いつまでも君を好きなのだろうと、投げやりな感情に蓋をした。
——蓋をした、つもりだった。
君と初めて、文字列だけの会話をした。
昔話をしたいと言う君。
画面の向こうに、君は居る。
画面の向こうに、君は見えない。
画面の向こうから…
この表情は、見えないでしょう?
それなら、この話もちゃんと伝えられるかも知れない…
小学生のあの時の、
私の中に鮮明に残る記憶。
昼休みの掃除前。
君の机に、ノートを切って書いた手紙を入れた瞬間。
掃除から戻って来た君が気付いて。
机から出して直ぐに、周りの人に取られて見られてた。
でも、私は普通に書いてなんか無かった。
白のクーピー。
私が小1の時から使ってた、秘密を書く方法。
それがまた、クラスメイトの気を煽ってしまったのだろうか。
教室後ろのロッカーで、光に反射させたりしながら、必死になって読んで居た。
——それは、宛先であった君では無かったけど。
結局、最後まで読まれる事は無かった。
最後に書いたのは私の名前じゃなく、君とセットで呼ばれてたあだ名だったけど、それも気付かれなかった。
私は1人、恥ずかしい思いを胸に抱えたまま。
「願わくば、気付いて欲しい」
「願わくば、気付かないで欲しい」
二つの矛盾した想いを胸に抱えたまま。
その、何とも緊張した長い長い時間を。
私は独り。
俯いてやり過ごした。
そんな記憶を。
「もう時効だと思うから言うけど」
私の中でまだ燻る感情を。
この気持ちに整理を付ける為に。
昔話にかこつけて。
画面の向こう。
見えない君へと言葉を送った。
——それが、
君に想いを伝え、
君に本当に告白するきっかけになるとは、
考えもしなかった。
——本当は、
君もあの頃から私を好きで、
同じ様に想っててくれたなんて、
思いもしなかったんだ。
今、隣に君が居る。
それが、答え。
《2013.06.09の私作》
《2025年に同じ恋を書いたもの↓》
https://kakuyomu.jp/works/16818792435420007906/episodes/16818792435420051793
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