第19話 美女しかいない理由


「なんだかゴメンね……セレスくん」


「別に構わないよ! 折角だから食べようか?」


「うん、そうだね」


朝になりケティと一緒に出掛けたのだが……謝られてしまった。


時は少し遡る……


『セレスくん、今日は何でも奢るからね、好きな物を好きなだけ食べて良いからね』


そうケティが言ってくれて、ちょっと良いレストランに入ったのだが……


『あなたは男性ですよね? 女性同伴で来られた場合は全部無料ですよ! 思う存分食べて飲んで下さいね』


と店長に言われてしまいバイキング状態になってしまった。


ステーキから始まり、最後はパフェまで食べて、最早満腹状態だ。


◆◆◆


「本当にごめんなさい。なんか奢るつもりが奢られちゃって……」


ケティはそう言って謝っているけど……


「気にしないで良いよ。僕もお金を出していないからね」


セキュリティカードを出して男性だと証明すると飲食代金がケティの分まで合わせて無料になった。


お店で簡単に聞いた所、男性だから無料という訳でなく『男性が女性を連れていると無料になる』という物だった。


男女交際を支援する制度の一つだそうだ。


尤も、一人でも男性はかなり優遇されていて国からの支援で7割引で食べられるが、殆どの場合、残りの3割も請求されない事も多いらしい。


理由は男性が1人で食事をしていると女性が男性目当てで入ってくるからサービスするお店が多いからという話だ。


一応は僕の奢りになっているけど、無料サービスなので僕もお金は一切払っていない。


それなのに奢りと言われると、ちょっとこそばゆい。


「ごめんね、それでこれからどうしようか?」


そう言いながらケティはLRをチラチラ見ているが……流石に今は行く気が起きない。


まだ昼間だし……


「なにかこう、遊べるような施設とかない?」


「それじゃLRに……」


やはり、そう言うよな……


「流石に昼間からはね、それ以外で考えて」


「そうだよね……そうだ、遊園地なんてどうかな?」


「遊園地?」


「うん、この近くにネズミ―&ビーバーランドがあるから行ってみない?」


ネズミとビーバー? 遊園地なら楽しそうだ。


「うん、凄く楽しそうだ、行ってみよう」


遊園地、懐かしく感じるのはなぜだろう?


◆◆◆


「凄く大きな遊園地だね」


ネズミ―&ビーバーランドは思った以上に大きな施設だった。


だが、ここにもLRがチラホラ建っているのが分かる。


夢の世界にラブホテルがあるのか、そんな事が頭に浮かんだ……ラブホテルってなんだろう。


まぁ、いいや。


「この地域最大の遊園地だからね、それじゃ、セレスくん……あっ」


「いいよ、お金は払わないけど、僕のおごりで」


『男性の方は女性同伴の場合は無料』としっかり看板に書かれていた。


「すみません、男女ペアチケット下さい」


「はい、男女ペアチケットですね。セキュリティカードをお願い致します」


「はい」


僕がカードを渡すと……


「はい、男性の確認がとれましたので無料です。 あとこちらのバッジをお付けください」


お姉さんが、チケットの他にバッジもくれた。


「このバッジ、なにかあるんですか?」


「はい、色々な特典があります! どんな特典かは入ってからのお楽しみです」


「そうですか! ありがとうございます」


バッジをつけてから施設に入っていくと……


早速、ネズミのキャラクターとビーバーのキャラクターがこちらに歩いてきて、握手をしてきた。


成程。


このバッジをつけていると、キャラクターが優先してくれるんだ。


「なかなか良いサービスだね」


「……」


何故か横にいるケティが少し不機嫌な顔になっている。


「どうしたの?」


「セレスくん、あれキャラクターのぬいぐるみ着ているけど、中身は全部女だから……」


「確かにそうだけど、そう言うのって気にしちゃ駄目でしょう? あくまでキャラクターなんだから」


「セレスくんならそう言うよね……幾ら無邪気な姿をしていても中身は獣なんだから気をつけてね」


「流石に、こんな夢のような国でそんな事しないでしょう?」


「甘いよ……セレスくん……女の子の性欲や恋愛欲求を舐めちゃ駄目だよ!」


「そう言うのなら、気をつけるよ。 それで、何処から行こうか?」


「そうだね、あれ行ってみない?」


スリラーハウス? ああっ、お化け屋敷か。


「それじゃ、行ってみようか?」


ケティに腕を組まれてそのままスリラーハウスに入っていった。


◆◆◆


「セレスくん、なんで怖がらないのよ……結構怖かったよ……」


「うん、分からないや」


う~ん、絶対に勘違いだと思うけど『もっと恐ろしい存在』と戦っていた記憶がある。


だからか、全然怖くない。


「セレスくん、飲み物でも飲む? 貰ってこようか?」


ペアチケットだから飲み物も無料……凄く優遇されている気がする。


「そうだね、喉が渇いたからお願いしようかな?」


「それじゃ、セレスくんは何がいい?」


「コーラでお願い」


「それじゃ、行ってくるね」


ケティは凄い勢いで走って買いに行ってきた。


ただ、ジュースを買うよう頼んだだけなのに随分嬉しそうだ。


しかし、凄い勢いで走っていったなぁ~


「ハァハァ、お待たせぇ~」


「そんなに急がなくても……」


「一応、こう言う場所で女性同伴の場合は余程の事が無い限り、男性に声を掛けてはいけないというマナーはあるけど、あくまでマナーだから……ハァハァ」


成程、だから、遠巻きに見ているだけで声を掛けてこないのか。


それはそうと、ケティに聞きたい事があったんだ。


「あのさぁ、ケティ、ちょっとまた教えて欲しい事があるんだけど……」


「はぁはぁ、なぁに? 何でも聞いて」


「あのさぁ、ケティも含んで今迄出会った女の子が全員、美女か美少女しかいないし、皆がスタイルが良いんだけど。どうして?」


気のせいか記憶にある太った人間に会って無い気がする。


「凄く嬉しいけど……皆かぁ~ セレスくんは記憶が無いんだよね?」


「そうだけど」


記憶が無い部分もあるけど、それ以上に常識が随分違っている気がする。


だからなのか知らない事が多すぎる。


「まず、スタイルからだけど、生まれてから7歳までは子供の管理は親がするんだけど、ちゃんと栄養管理をしないと虐待になるんだよ……もし、子供を肥満にでもしたら、ちゃんと法律で罰されるよ。 スクールに入ってからは栄養管理はスクールがしているから太ってきたら、しっかり食事を減らされたり、運動するよう指導を受けるから、病気とかで無い限りデブとか極端に痩せた子は居ない筈だよ」


「そうなんだ……ゴメン、やはり記憶が混乱しているみたいだ」


「そう、大丈夫?」


「大丈夫!」


「あとは、美人と美少女しかいないについてだけど、セレスくんが言う美少女や美女の基準が分からないけど。思いつく事はあるよ。 まだ男女比が此処まで偏る前、大体1:8位の時。男性が女性をここ迄嫌う世界になる前の事なんだけど、まだその当時は多分セレスくんのいう『美女や美少女じゃない』女の子もいたんだけど、その時でも男性は女性を選び放題だったのよ。だから、態々そういう子を伴侶に選ぶ男性っていないじゃない? その結果、遺伝子的に『男性の好みじゃない女の子』は遺伝を残せないから、今いる女の子は昔の女の子よりは魅力的になっている。そんな話があるよ」


確かに、女の子が選び放題なら……そう言う事もあるかも知れない。


「そうなんだ」


「うん、実際に、昔と違って手足が長くなっているし、徹底した管理で肥満もいない。データー的にも女性は美しくなった。そう出ているの……だけどね……男性の多くは、今ではそれでも女性を嫌うのよ」


「そこ迄嫌うの?」


「うん、セレスくんスクールで男の子に会ったことある?」


「1人しかない……」


「実際には男女比1:50の人口だから、もう少しは会う筈でしょう? でも滅多に会わない。この遊園地にも見た感じセレスくん以外に男いる?」


周りを見渡してみたけど……確かにいない。


「いないね……」


「うん、殆どの男性は引き篭もりで部屋から出たがらない。 本当は出たいのかも知れないけど『女性に会いたくない』から外には出ないのよ」


「そこ迄酷いの!」


「うん、セレスくんは……その、大浴場に平気で入っているし、着替えも一緒でも平気じゃない? 他の男の子だったらどうなると思う?」


「分からない……」


「多分、パニックを起こして暴れると思う」


「まさか……」


「本当だって、もし、無理やりSEXなんてしようものなら自殺するかもしれないのよ。だから、人工的に精子を取り出す。搾精があるの……」


そこ迄酷いのか……


「凄い話だね」


「うん、だから、自然に発情して女を抱けるセレスくんは偉いって話。 多分、そのうち国から表彰されんじゃないかな」


「まさか……」


「搾精には凄いお金が掛かっているから、その施設を使わないで精子を出せるセレスくんはやっぱり凄いと思う」


「そう」


「という訳でLRに行かない?」


「行きたいの?」


「当り前じゃない? 男性同伴じゃないと入れないんだから女の子の憧れの場所だもん」


「そう、それじゃ、そうだな、ジェットコースターと観覧車に乗ったらつき合ってあげるよ」


「本当? 絶対だからね!」


そう言うとケティは自分のジュースを一気に飲み干し僕の手を引っ張った。















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