黒い服の女 ― 6 Crossing ―
不死身の死
第1話「行方不明者のお知らせ」
こちらは
本日正午頃、大岡1丁目付近で、75歳の男性が行方不明になっております。
特徴は身長170cm痩せ型白髪まじり、服装は白いシャツに茶色のズボンを履いております。心当たりがある方は風吹警察署までご連絡ください。
私は放送を聞きながらボケっと窓の外に霞む山の稜線を眺めていた。
「ねえ、サヤカ。最近、行方不明の放送多いね。」
前に座っているモカちゃんが振り返り、スマホをいじりながら話してきた。
「私、去年まで田舎で暮らしていたから、防災無線でこういう放送こっちに来て初めて聞いたよ。」
「そうなんだ~。」スマホをいじりながらもう違う事を考えてそうだ。
「この放送って見つかったとかは聞いたことないね。」
モカは「うーん。」と空返事をし、スマホで他の誰かになにか送っているようだ。
私は視線を外に戻した。梅雨がもう始まったのに快晴が続き明るい日差しが疲れを癒やす。
「ねえねえ、サヤカの部屋からあそこの病院の駐車場の所にある看板の辺り見える?」
後ろのヨウコが窓の外に
「ん~、北斗病院のこと?リビングからなら見えるかもしれないけど、部屋からはどうかな?」
「昨日さ、妹が塾の帰りに変なもの見たって大騒ぎしてさ。」
ヨウコは声を少し
「あんたの家の近くの病院の看板の所にぼんやり人影みたいなのが座っていて、よく見ると長い髪の女っぽい人が妹をじっと見つめて来たんだって。」
「女の人は動いていないのに黒い影がだんだんと、こっちに近づいてくる感じがしたから、怖くなってコンビニの所まで走って逃げて、コンビニにいた友達と一緒に家まで帰って来たらしいんだよ。」
いつも大人びたヨウコが子供のようなオカルト話を真顔でする。
「うちの近くに、変な人がいたってこと?」
「そうサヤカの家の前の道、妹は怖くて塾行きたくないって言ってるから、ただ塾に行きたくないだけかもしれないけど・・・。」
「ヤバいね、もし帰りにうちの前にいたらどうしよう。」
想像したら鳥肌がたった。
「今、AIに聞いてみたら不審者が出たら近づかず、すぐ通報したほうがいいって」
モカちゃんはスマホいじりながら聞き耳を立てている
「サヤカお願い、時間があったら夜の9時前後、部屋から覗いてそんな不審者がいるのか確認してみて。」
始業のチャイムが鳴った。
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黒い服の女 ― 6 Crossing ― 不死身の死 @nazonex316
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