夜の病院棟

@Horakoma

第0話

これは私が中学の夏に入院した大学病院での出来事です。


私には食物アレルギーがあります。現在でもアレルギーはあるのですが、その頃の自分は今以上に多く持っていました。何とか改善できないかということで、アレルギーの一つである牛乳の検査をするために行きつけの大学病院に入院しました。


部屋は4人部屋であり、私は窓側の入って左のベットで入院することになりました。前には足を怪我した男性、斜め右と横には体調不良のおじいさんがいました。検査が無事に終わり経過を見るために1日だけ入院することになりました。


深夜0時、初めての入院だったのもありその日はなかなか寝つけませんでした。周りの人はカーテンを閉めて眠っており、様子を見るためにいた母は、隣にあった小さいソファーで寝ていました。「病院の夜ってこんな静かなんだな」と思っていると、急に光が目に差し込んできました。最初はいきなりの光に目がやられましたが、だんだん慣れてくるにつれて光の方向に目を向けました。そこに映っていたのは、カーテンに写った、看護師2名、医者2名が足を怪我した男性を左右で挟むように立っている影でした。「こんな時間に何をしているんだろう」とそちらの方向をじっと見つめていました。その瞬間、大きな機械音が部屋の中にひびきました。その音はまるで、工事現場で聞くようなドリルの機械音でした。「何をやってるんだ!」と思って立ち上がろうとしても、体は動かず、声も出せませんでした。だんだん眠気が襲いはじめて、私はそのまま気絶するように眠りにつきました。


起きたのは朝の6時だったと思います。起きた私は顔を洗おうと部屋の中にある洗面台に向かいました。そして、ふと深夜に起きたことを思い出しました。その時の私は何があったのかを知りたいという好奇心に勝てなかったんだと思います。音が鳴っていたベットのカーテンからゆっくり中を覗きました。


.......


中には誰もいませんでした.....

それこそ、誰もいなかったかのように布団や枕も置かれていませんでした。


退院後、私は同じ部屋に入院していた2人のおじさんに足を怪我した男性のことについて聞きました。その際に口を揃えて返事を返しました。


「誰?その人」と


あの頃の出来事は未だに分からないまま

私の記憶の中に残り続けています。

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