第5話:絶望に呑まれた心を快楽で掬い取る

 命令による強制によってクリネとハミーノの2人を連れ、俺はレアレの下へやってきた。


 彼女は秘密の部屋のような場所に隠れていたが、神力を鋭敏に感じ取れる俺にはまるで意味をなさない。


「カ、カイ様……」


「レアレ、俺と来い」


 レアレは差し出した俺の手を無視して、後ずさった。


「カイ様、悪魔に堕ちてしまったのには、何か理由があるのですよね?」


「わざわざ語るほどの事情はない」


 事情を話して同情を誘うような情けない真似はできない。


 俺はレアレの腕を掴んだ。


 彼女は戦闘能力がないので、誘拐も容易だ。


「レアレ王女を守れ!」


 そう叫びながら、部屋へ兵たちが押しかけてくる。


 俺は彼らへ炎の濁流を放った。


「やっ、やめてください!」


 レアレの懇願も空しく、兵たちは残らず灰と化す。


「さあ、今日からお前は俺のものだ」


「……魔王の利になるくらいなら──」


 レアレは懐に隠し持っていた短剣で自身の喉を突き刺そうとする。だが、


「自分の身を傷付けるな」


 アロガンツの能力がこもった言葉で、レアレは簡単に従ってしまう。


「行くぞ」


 空を飛べないレアレを抱き上げる。


 クリネとハミーノも追随させて、俺は城へ帰還した。



 ◆◆◆



「レアレ、貴女も……」


「サーナ様も捕らわれていたのですね……」


 俺はレアレとクリネの手首を拘束し、サーナの隣に吊るした。


 テストラも同じように拘束されている。


「先にお前だ、ハミーノ」


 ハミーノは絶望に心を呑まれたままだ。


 魔力の掌握力に長ける者は、放った魔法から感触を得る。


 相手にぶつかる感触や、貫く感触を自分の体でそうしたのと同じように知覚できるのだ。


 つまり、ハミーノは自分の手で人々を焼き殺す感触をフィードバックしてしまったのだ。


 今の俺にはその絶望を実感できないが、理解はある。


 ちょっとした実験をしよう。


「ハミーノ、俺が救ってやろう」


 俺は悪魔の力を全力で解放したことが無い。


 ルクスリアの全力解放をハミーノで試してやろう。


 俺はハミーノを全裸に剥き、その臍の下に指で触れた。すると、鮮やかな桃色の紋様が描かれる。


 その紋様から、鎖の絵が伸びて全身へ巻き付いていく。


 最上位の淫紋だ。


 俺はハミーノの膝裏を掴み、大きく股を開かせた。


「はあああ……っ」


 膝裏という、なんの性感帯でもないところを触れられただけで彼女嬌声を上げた。


 淫紋の力でハミーノの肉体は強烈に発情しており、秘部からはとめどなく透明の液が零れていた。


 そこへ俺のものを触れさせる。


「んふううううううっっ!!!」


 入り口へ軽く接触しただけで、ハミーノは苦しげなほどに激しく絶頂へ達した。


 女がめちゃくちゃに乱れている姿に興奮し、俺の性棒はいつになく巨大にそそり立っている。


 それを、ヒクヒクと動いて男を誘っている淫穴へ突きこんだ。


「あああああああああああああッッッ!!!」


 ハミーノが絶叫する。


 淫紋の力で破瓜の痛みはないので、耐えられないほどの快楽によるものだ。


 さらに、淫紋の力でハミーノの肉襞がぐにゅるぐにゅると通常ではありえないような可動域で動き回り、自分を擦り付けて自慰すると同時に俺のモノへ奉仕してくる。


「ああああっ、ああああああっ、ああああああああああーッッ!!!」


 まだ奥まで届いてすらいないというのに、ハミーノは自分の膣襞の動きで絶頂と絶叫を繰り返す。


 俺がさらに腰を突き出して亀頭を子宮の入り口へ到達させると、


「おオ"ッ!!?」


 と呻き声を零し、ハミーノの腰がガクガクガクガクッと危うささえ感じるほど激しく痙攣した。


 しかし、いかに神経が焼き切れるほどの快楽を押し付けられても、淫紋の能力で保護されている。


 だから俺は、さらに子宮を押し上げて、ブツを全てナカへ収めこんだ。


「あっ、ごっ……お"ぉッ!」


 絶頂の痙攣は止まず、豊かな双丘がぷるんぷるんと柔らかく震える。


 剛直に絡みつく雌襞と、絶頂による痙攣と収縮が、俺の精を貪ろうと攻めてくる。


 テストラやサーナを犯した時よりも、何百倍も気持ち良かった。


「すごいな!」


 俺は先端を、一番奥へぐりぐりと押し付ける。


 すると、淫紋によって強制的に解されたハミーノの体は、観念するようにゆっくりと入り口を広げ、


 俺の亀頭が、子宮の中へズプンと侵入した。


「おっ、ご……ッッ!」


 淫紋が描かれているのは子宮だ。それが腹の上まで浮き出ている。


 淫紋が直接刻まれている子宮は、最大の性感帯なのだ。


「あああっ! あああああああッ!!」


 白目を剥いて、凄絶な相貌になったハミーノが絶え間なく絶叫を上げる。


 俺がめちゃくちゃにしているという事実を除けば、さすがに興奮もできないような顔だ。


 だが、それもすぐに改善される。


 精神を保護された上で激烈な快感を与えられ続けると、精神強度が劇的に成長し、苦しみを感じなくなる。


 ほら。


「あ"っ、あ"っ、あ"っ、あ"んっ……!♡」


 子宮まで性器の延長と化し、子宮口を亀頭冠で引っ掻いては子宮奥の壁を先端で突き回す。


 苦しげな悲鳴を上げていたハミーノは、精神が頑強になり、甘く可愛らしい喘ぎ声を漏らすようになってきた。


 秘部と同様に敏感に変化している胸を揉んでたわませ、先端を吸うと、甘い乳が噴出する。


「ハミーノ、どんな気持ちだ?」


「ぎもちいっ、ぎもぢいいよッ!!♡」


 快楽と連鎖した幸福が、ハミーノの心を覆い尽くしていた絶望を洗い流していた。


 何度も抽挿を繰り返すうちに、だんだんとその時が近付いてくる。


「ナカっ、ナカがいいッ!」


 絶望に代わって快楽に溺れているハミーノが、理性があれば決して言わないことを自ら懇願する。


 もちろん、拒絶しようとも俺は子宮へ注ぎ込むつもりだ。


「ああ、イく」


 ハミーノの太腿を掴み、彼女の股間と自分の腰を隙間無く密着させて、俺は一番奥で発射させた。


「んんんんんんんんんんんッッ!!!♡」


 到底孕み袋1つには収まりきらない量の精液を流し込む。


 だが、結合部から溢れひり出てきたのは、わずかな量だけだった。


 俺の精液は、俺の眷属を作るためのエネルギーとして、ハミーノの子宮が吸収したのだ。


 孕んだと捉えて問題ない。


 種付けが終わり、母体が落ち着くと、自然とエネルギーを使って眷属の肉体が構築されだす。


「そして、お前は俺のしもべとなったんだ、ハミーノ」


 俺の精液には闇の力が濃厚に秘められている。


 それを心から求め受け入れてしまうと、肉体が闇の力に侵蝕されるのだ。


 俺のものを陰壺で咥え込みながら疲労困憊で倒れているハミーノは、その姿が変化していた。


 頭の左右から小さな角。背中からは小さな羽が生えている。どちらも宙に浮いた魔法的部位で、直接繋がってはいない。


 全身には、白い肌に映える黒い模様が描かれている。


 下腹部の淫紋はそのまま、額、舌、鎖骨の真ん中、背中の腰らへんの4箇所に、僕印が刻まれた。


 立派な、悪魔のしもべだ。


「ハミーノ、どんな気分だ?」


 先程も問うた言葉をもう一度投げかける。


「カイのことがたまらなく愛しい……♡」


 ハミーノは瞳にハートを浮かべて、俺への愛を告白する。


「悪魔になったあんたを倒さなきゃいけない筈なのに……カイを傷付けることなんて考えられない……そばにいさせて。カイを感じさせて。たくさん命令して。この体を好きに使って♡」


 ハミーノは俺の首に両手を回してくる。


 暗殺するなら絶好のタイミングだが、彼女はただ俺に抱き着き、体を密着させた。


「あたしの全部、あんたのものだよ♡」


 この愛は、俺のしもべになった影響だ。


 あるいは、これを偽物だと貶し、本物の愛を得られていないと俺を馬鹿にする奴がいるかもしれない。


 見当違いも甚だしい。


 俺は愛なんて求めていない。


 欲しいのは性欲を発散する道具。戦闘力の高いしもべだ。


 ハミーノをしもべにしたのは、飽きを防ぐため。


 敵意を向ける女を屈服させるのが俺の嗜好だ。


 ハミーノが俺に敵意を向けてくる望みは持てなかった。


 反応が無ければそれこそただの肉穴だ。


 だからしもべにしたに過ぎない。


 ではどうしてハミーノを絶望させたのかと聞かれれば、何も考えていなかったとしか答えられないな。


 ただ俺が、相手の期待を裏切ることに多少の悦楽を覚えるようになってしまったと、それだけの理由だ。


「綺麗にしろ」


「うん♡」


 ハミーノの顔の前に汚れた肉棒を突き出すと、彼女は積極的にそれを舐め、しゃぶってくる。


 掃除を終えると俺はハミーノを突き放し、神剣アザムを持ってレアレの前に立った。


「な、何をするのですか……?」


 殺されると思ったのか、レアレは顔色を青くしてカタカタと震える。


「安心しろ。少し痛いだけだ」


 俺はレアレの胸元に切っ先を浅く突き刺し、それを媒介にギアーの力で神力へ……


「なんだと?」


 干渉、できない。


 確かに、サーナや神剣アザムが秘めるものと同じ神力だ。


 しかし、違う。石は石でも様々な種類があるように、サーナの神力とレアレの神力は別物だった。


 ということは、レアレの神力へ干渉する媒介を、神剣アザムとは別に用意しなければいけない。


 神鎧バームエルは破壊してしまった。残骸にまだ神力が残っているといいが、薄い期待だろう。


「レアレ。神鎧バームエルと同様のものに心当たりはないか?」


「……わたくしを捕まえた目的を果たすために、それが必要なのですね」


 聡明なレアレは見事に言い当てた。


「その通りだ」


「では、わたくしは何も言いません。魔王に利することはしないと、先刻も言いました」


「言え」


 アロガンツの力を込めた、支配の命令。


「それは──あっ、ぐううっ! い、言いません!」


「ほう」


 レアレは強い意思のみで、悪魔の力に抗って見せた。


「そうか。困ったな」


 俺は隣に繋がれているクリネの腕を取り、その指へ関節の方向とは逆向きに力を加える。


「くっ……」


「お前が白状しないとクリネを痛めつける」


「っ、貴方様のお弟子様ですよ!?」


「今はお前の言った目的の方が重要だ」


「わたくしが本当になんの心当たりも無かったら、それをどう確かめるのですか」


「嘘を吐くな」


 その命令は、すっとレアレに作用した。


 さっきは『言わない』という強い意思が言えという悪魔の命令に抵抗したが、『嘘を吐く』という行為にそこまでの強い意思は無い。


「お前は嘘を言えない。そうだな、何か絶対に口に出せない秘密でも言ってみろ」


「わたくしは、カイ様をお慕いしておりました……あっ!?」


「そうか。これで分かっただろう」


 顔を真っ赤にしたレアレが俺を睨みつけてくる。


 それでいて、今の最善にも思考を巡らせているようだ。


「まずは小指からだ」


 クリネの手を掴む手に力を入れる。


「待って! ……言います。きっと、いつかは耐えられず教えてしまうと思いますから」


「駄目だよレアレちゃん! 私なら大丈夫だから……」


「わたくしが、クリネさんが傷付く姿を見ることが耐えられないんです……情けない王女だと笑ってください」


 クリネから視線を外し、レアレは俺を真っ直ぐ見上げた。


「神泉。浸からせればどんなものにも聖なる力が宿る泉……そんな伝説を聞いたことがあります」

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