僕のワクワク大作戦④ セミ大作戦〈後編〉〜飛べ、マメ!〜

@takapapa0716

第4話

「今度こそ成功だ……!」


僕の頭の中には、セミのパワーで空を優雅に舞うマメの姿が再生されていた。


だが現実は――甘くなかった。


マメは、飛ばなかった。


いや、一瞬だけフワッと浮いた気がした。

が、次の瞬間には姿が消え、見覚えのあるあの場所――川の中で再び流されていた。


「マメーッ!!」


周囲が叫ぶ。

……このセリフ、どこかで聞いたぞ?


そうだ。

これは完全に、デジャブだ。


* * *


仲間たちが慌てて駆け寄るなか、僕は頭の中のコンピューターをフル稼働させていた。


なぜ、あの完璧な計画がまたしても失敗したのか。


「失敗は成功の母」である。


ということは、今回の失敗もまた――進化のチャンスだ。


僕の脳内ではすでに、新たな改良版「フワフワ大作戦3号」の設計が始まっていた。


動力はセミで間違いない。

だとすれば、問題は“重量”か?


マメには一週間くらい断食してもらい、体重を軽くしてもらうか……。


そんなことを考えているうちに、僕もようやく川辺に到着した。


2回目ともなると、不思議と冷静でいられる。


マメは今回も必死の犬かきで岸を目指していたが、明らかに限界だった。


「……進歩のないやつだな」


つい、ため息が漏れる。


そして――またもや力尽き、ぐったりと流され始めたその時。


「ああ、またお前らか……」


呆れ声とともに、通りかかった農家のおじさんが川に飛び込み、マメを救出してくれた。


こうして、「フワフワ大作戦2号」もまた、壮大に幕を閉じた。


* * *


今回の件を重く見た大人たちは、ついに禁じ手を使ってきた。


僕は、家の裏の林にロープでくくりつけられ、一晩中反省させられることになった。


タヌキに指をかじられそうになって泣きそうになったし、ちょっとだけ……ほんのちょっとだけ、漏らしてしまった。


でもこうして誰にも邪魔されない環境は、僕にとっては**“完璧な構想タイム”**だった。


ロープにくくりつけられながら、僕は次の「フワフワ3号」の設計を進めていた。


そして翌朝。


大人たちが話し合った結果、ついにこう言い渡された。


「もうあいつとは遊ばせるな」


──納得いかない。


なぜなら、僕の頭の中ではすでに、次のワクワク計画が動き出していたのだから。



あとがき


2度の空飛び作戦は、どちらも失敗に終わった。


でも彼はまだ、諦めていない。


今度の舞台は――空ではなく、海!?


次回、『僕のワクワク大作戦⑤:海の怪物をつくろう!〜オロチ編〜』へ続きます。

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