第2話:転生時に性別がランダムになった元男子校教師

「次の方、どうぞ~。もう希望とか見てないけど、どんな地雷かだけ教えて。」


と、俺の声が枯れ気味なのは気のせいじゃない。

前回の即死魔法男のせいで、女神室の観葉植物がしばらく黒く枯れてたからな。あれ、あの鳥の友達だったらしいし。


扉が開くと、すらりとした美人が入ってきた。

いや、姿形は完全に“美女”なんだけど……中身の空気が違う。

なんというか、オーラが“おっさん”。


「うわ、なんか既視感あるな……えーっと、お名前は?」


「……新藤 正志(しんどう まさし)……いや、今はマシェリ=ローゼンクロイツだそうです。」


「名前の差分がすごいね!?で、元の職業は?」


「男子校の国語教師でした。」


「なるほど、教育者。で、今はこのファンタジー女神様チューニングのせいで?」


「見ての通り、ランダム性別ガチャで外れを引きました。」


「外れって言ったな!?こんなに整ってるのに!?」


「心がついていかないんですよ。生徒に告白される夢とか見て起きると、本当に目が覚めて冷や汗が……。」


「うん、社会的には目覚めないでくれてありがとう。」


書類に「性別ランダム転生/元男子校教師/現在女子」と記入。


「で、希望スキルはあったの?」


「希望は『教育スキル』だったんですが、女神が気を利かせたらしく『恋愛指導Lv10』になってました。」


「ぶち壊れてるね!どのあたりに“教育”要素が……。」


「おかげで、村に着くなりやたらモテて、もう疲れました。」


「しかも中身おっさん……変に悟ってそうで逆に怖いな。」


「最近は、村の男衆に“マシェリ様のために剣を極める!”とか言われて囲まれてます。」


「逆ハーレム系主人公かよ!!!」


これはこれで性質の悪い“異物”である。悪気がないぶん、余計にややこしい。


「一応聞くけど、今後の目標は?」


「……静かに教師として第二の人生を歩みたいです。」


「フラグ立ちまくってるから無理だと思うよ。」


転生者コード:MAS-0231

能力:恋愛指導Lv10/性別:女(元男)

職歴:教師(教育スキルゼロ)


そろそろ記録係やめて、農民に転職したい。次どうぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る