異世界転生したら初恋の幼馴染他(地雷)が追ってきた。

@gfdlove

始まり

第1話 始まり


「ごめんなさい…ネリー・・・でも…ネリーを守る為には…こうするしかないもん゛・・・ごめんね…ネリー…本当に゛…ごめん゛ね゛…」


泣きながら、僕に謝ってくるサラ。

その横には泣いているサラの肩に手を回して、ニヤニヤと笑う金髪美形の優男。


「なんで…勝手に決めちゃうんだよ…サラ。なんで…」


僕が弱かったから・・・

それでも…そう口にしてしまう。



「あははっ、自分の大事な女も守れないような男との別れなんて、そんな程度でいいだろう?ほら、行くぞ。」


「レスター様、おっ、お願いしますっ!もう少しだけっ!」


「ダメだね。そんな情け無い男なんて、すぐに俺が忘れさせてやるよ。ベッドの上で、アンッアンッって言わせてさ。アハハハッ!」



「ーーーーーーネリーっ゛!!」



そう言うとレスターはサラの華奢な腰に手を回して、強引に連れていってしまった。

サラの綺麗な銀髪が風に揺れる。


僕は地面に手をついて、ぐっと土を掴んだ。


「サラっ゛…」


悔しくて涙が止まらない。


サラを連れて行ったのは、碌でもない噂が絶えない…この地を治める辺境伯家の息子だった。


僕はギロッっと、一部始終を見ていた村の人間を睨んだ。


コイツら…ふざけやがって・・・



僕とサラはこの村の出身だ。けど…僕はこの村にいい印象なんて…全く無かった。


ーーーーーーーーーー


僕の両親は治癒師で…国境沿いの帝国との争いに駆り出されて、僕が7才の時に2人共に亡くなってしまった。それからは幼馴染のサラの家が僕を引き取ってくれて。


けれど腕の良い冒険者だったサラのお父さんも、僕達が10才の時に両親と同じように帝国との争いに無理やり招集されて、あっさりと亡くなってしまった。


魔獣狩り専門の冒険者だったサラの父さんに戦争は無理だったんだ。


それからはサラのお母さんと一緒に3人で畑仕事をしたり、サラのお父さんから教えてもらった薬草採りでなんとか細々と暮らしていたのだけれど…僕達が13才になり、神託を受ける直前におばさんが大病にかかってしまった。


その病気は僕達が採ってくる薬草では…どうにもならなくて・・・

村中の人間に頼んで腕の良い治癒師を連れて来てもらえないか頼んだけれど…みんな、お金が無かった僕達の為にギルドに依頼を出すのを躊躇った。


おばさんの病気を治すには少なくとも銀等級以上の治癒師でなくては無理だったから。


それでも毎日頼み込んで…もし借金を支払えなかったら僕とサラ2人が村の奴隷になるって約束をして、やっと頼んで貰えるコトになった。



僕は…あの日のコトは絶対に忘れることはないと思う。


「おばさん、明日ねっ、ギルドに治癒師に来て貰えるように依頼をかけて貰えるからっ!」


「お母さん、そしたらきっとすぐ来てくれるからっ!だからもうちょっと頑張ってっ!」


俺達がベッドで寝込んでいるサラのお母さんにそう話しかけると…薄っすらと笑って、


「2人共、ありがと。大好きよ、サラ、ネリー…2人共…ずっと仲良くね…」


そう言ってくれて…

次の日の朝、サラのお母さんは亡くなっていた。


僕は…おばさんは俺達の為に生きることを諦めたんじゃないかって思った。


払えなかったら奴隷になると約束してきたコトは、当然おばさんには言わなかったけれど…薄々勘づいていたんじゃないだろうか。


だから…死んでしまったんじゃないかって…


ギルドに依頼を出す前におばさんは亡くなってしまったので、奴隷の約束は反故になったけれど…

その話をした時に村長とその息子が、チッっと舌打ちをしたのを…僕は絶対に忘れない。


そして…そのすぐあと・・・


神託を受けてサラは剣士、そして僕は…


治癒師のギフトを授かった。


僕の両親は2人共、治癒師のギフト持ちだったから・・・何となく想像はしていたけれど…


僕は悔しくて、悔しくて、一晩中泣いた。


あともう少し早かったら…もしかしたら…おばさんを助けてあげられたんじゃないかって…

そんなコト…出来た筈無いのに、そう思って…


サラは僕のことを抱き締めてくれて…2人して泣いたあと、僕はサラに提案した。


「サラ、この村を出て…2人で冒険者にならないかな?」


もうこんな村に居る必要は無かった。

僕の治癒師も、サラの剣士も、それなりに貴重なギフトだから・・・ここに居たら、いいように利用されるだけだ。


特にサラは優しすぎるから。


お互いの両親のお墓も思い出もあるけれど…それに縛られて不幸になるコトは、両親達は絶対に望んでいない。僕はそう思ってサラに伝えた。



「うん゛…私ね、ネリーと一緒に行く…2人で頑張ろ。」


サラはそう答えてくれて…僕達はその日のウチに荷物をまとめた。

そして次の日、僕は父さんの形見のローブと母さんのロッド、サラはおじさんの形見の剣と俺の母さんが使ってた皮の軽装鎧を装着して、村長の家を訪ね、この村を出ることを伝えた。


村長はグズグズ言って…僕達を引き止めようとしたけれど、


「お世話になりました。」


僕達はそれだけ言って、村を出た。


それからギルドがある村から1番近い街に行って、ギルドに冒険者登録して2人で地道に頑張ってきた。


最初は薬草採取からスタートして、徐々に魔獣狩りを始めていき…


僕は治癒師で…戦いは全部サラ任せになってしまうのが悔しくて仕方がなかったけれど…


剣士のギフト持ちでおじさんから剣術を習っていたサラは、普通の男じゃ全く敵わないくらいに強かった。

サラのおじさんは…サラが剣士のギフトを授かるコトが分かっていたのかな?なんて思ってしまうくらいだった。


だから僕はサラのサポートを完璧にこなせるように必死に努力した。回復魔法に支援魔法もベストのタイミングでサラにかけられるように気をつけて、サラの為だけのスペシャリストになろうとした。


そうして…2年が経って、薬草採りから始まった僕達の冒険者生活も魔獣狩り専門の2人パーティとして順調に実績を積み、サラは冒険者として銅等級に昇級した。僕はいまだに鉄等級だったけれど。治癒師の評価はどうしても低くなりがちだから仕方がない。

そしてパーティとしても、とうとう指名依頼を受けられる銅等級になることが出来て…


その直後だった。


僕達が産まれ育った村から指名依頼が来たのは。


はっきり言って、僕は全く乗り気じゃ無かった。けれど…等級が上がって直ぐの冒険者が指名依頼を断るのは、なかなかに難しかった。


「ネリー、受けてみよう?やっぱり…産まれ育った村だし、皆が困っているなら見過ごせないよ。依頼はアングリーボアでしょ?私達なら何度も倒してきたじゃない?ねっ。」


サラが優しい顔でそう口にした言葉を、僕は否定することが出来なかった。


「ああ、分かった。」


僕はそう言ってしまった。

そして次の日、ギルドに行き指名依頼を受けることを伝え、2年ぶりに村に戻った。


村に入り、村長の家に行くと村長が出てきて相変わらずのムカつく顔で、


「2人共、久しぶりだな。サラは随分と綺麗になったじゃないか?どうだ、ウチの息子の嫁にならんか?ワッハッハッハ」


僕は本気混じりの下らない冗談を言いやがってっと、久しぶりに頭にカッと血が昇りかけたけれど…



「私はもう心に決めた人がいますので、冗談でもそういうのはやめて下さいね、村長さん。」


(それって…僕のことだよな…)


サラが、あまりにもキッパリと断ってくれたので、僕は少し…じゃなくて、その場でサラを抱き締めたいくらいに嬉しくなってしまった。

それで冷静になることが出来て、


「明日、早速討伐に向かいます。今日は僕達が住んでいた家に泊まりますので、特に何かをして頂かなくても結構です。それでは失礼します。」


村長にそう伝えて、そしてサラと2人でもう誰も住んでいないサラの実家に行った。


家は多少劣化していたけれど、たまに誰かが掃除をしてくれていたみたいで…思っていたよりは綺麗だった。

それでもホコリは被っていたから、2人で思い出話をしながら掃除をしていった。


「ふふっ♪懐かしいね、ネリー。」


「ああ、そうだね。この家は僕にとっても実家みたいなものだから。」


「うんっ。やっぱり依頼受けて良かったね。

2人でこうやって、お家をお掃除出来て…私嬉しいな♪」


そう言って笑うサラを見て…


サラはギフトで剣士になって…今は僕と冒険者をしているけれど…

やっぱり本来なら冒険者じゃなくて、穏やかな暮らしが向いているんだろうなって思えて…


「ごめんね、サラ。僕のせいで冒険者なんてやらさせてしまって。」


そう思わず口にした。



「ううん。ネリーと一緒に冒険者をしているのは、私好きだよ。ずっと一緒に居れるし、人の役にも立てるし。ありがとね、ネリー。」


「サラ…僕の方こそ、ありがとう。」


サラの言葉に思わず、目頭が熱くなってしまった。それから掃除が終わって、お互いの両親のお墓へ行き、お参りをした。


そして家に戻る途中で、僕はずっと気になっていたコトを…胸をドキドキさせながらサラに尋ねてみた。


「ねぇ、サラ?さっき言っていた…心に決めた人って…僕のこと?」


僕はずっとサラのことが好きだったけれど…兄妹みたいな気持ちもあって、異性として意識しないようにしていた。


けれど…サラが村長に言った言葉を聞いて、やっぱり確かめたくなった。


するとサラは頬をピンクに染めて、恥ずかしそうに答えてくれた。


「…うん、そうだよ。ネリー以外にいるワケないじゃない…」


僕の心が嬉しくて…また跳ね上がってしまう。



「僕も…サラのことが好きだ。女性として。幼馴染としてじゃなくて…冒険者パーティの相棒としてじゃなくて…僕の人生のパートナーとして。」


とうとう言ってしまった。僕は恥ずかしくて、顔も真っ赤になっていたと思う。


「うんっ、私も!そしたら…この依頼が終わったらね…」


「ああ、籍を入れよう。」


僕達は2人共15才になっていて結婚も出来る年齢だ。

そう約束して、懐かしい家で久しぶりに僕達2人は同じベッドで一緒に寝た。


ただ手を繋いで寝るだけだったけれど…ものすごくドキドキしてなかなか眠れなかった。


この家に住んでいた時から冒険者になったばかりの頃までは、同じベッドで寝ていたけれど…多少冒険者として収入が安定してからは、別々のベッドで寝ていたから。


異性として意識してしまってからは、流石に一緒のベッドは色々と無理だった。まぁ…朝起きると、サラがいつの間にか僕のベッドに入っていたなんてことは、たまにあったけれど。


そして幸せな気持ちで朝を迎えて…簡単な朝食を作って食べて…それから魔獣討伐に2人で向かった。






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