怒怒哀哀
さくや
怒
「違う」
物語が綴られた紙をぐちゃぐちゃにして投げ捨てる。
「違う」
また投げ捨てる。
「違う」
また投げ捨てる。
頭の血管がぷつっと途切れてしまいそうなくらい、脳内では尋常じゃない程の情報量を処理している。
はずだ。
なのになんで、なんで俺は、あいつより良い物語が書けない。
俺はあいつらより、ずっとずっと苦しんで、孤独で、悶えてたはずだ。
なのになんでペンを持ったら僕はこんなにも平凡な思考に戻ってしまうんだ。
もう俺は、一生孤独にすごすしかないのか。
分かっている、醜い欲求だ。
自分の苦痛を字に馳せて承認欲求を満たすなど。
そのせいで何一つ思い通りにいかない自分の醜さが掻き立てられる。
一休みすべきか、したところでより良い物語が書けるのか。
ああもう、頭の中がこんがらがって言葉が何一つ思い浮かばない。
嫌いだ、こんな自分がとにかく嫌いだ。
今すぐこの気持ちわるい皮をはぎすててしまいたい。
あらゆる手段で、自分の気持ちを形にして伝えようとしてみた。
でも、何一つうまくいかない。
字、音楽、絵。
恵まれた奴らはとことん恵まれてるんだ。
僕みたいな屑は一生屑のままなんだ。
気持ちを余すことなく紙に載せたい。
でも、ペンを持った途端その気持ちがうやむやになる。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
僕は小説が好きだったはずだ、音楽も好きだったはずだ、絵も好きだったはずだ。
なのにどうして、今はこんなにも芸術が嫌いなんだ。
どうして、自分に才能がないってわかった途端、全てを手放したくなるんだ。
劣等感ばかり焚き付いて、僕の心が灰と化してしまいそうだ。
死のう。
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