斉藤さん
今日もデパートの前で占いのお客さん待ちをしているとき
常連の斉藤さんがお弁当を持ってきてくれた
「お昼時だからお弁当を買ってきたから食べて・・・」
相変わらずの笑顔で風薫の心も癒える
こうして相談を始めてからたくさんの人に食べ物や旅行先でのおもやげをいただく
割と食べ物には困らない事は収入の少ない風薫にとって幸せなことであり、その人たちの気持ちがなりよりのご褒美となる
昔はこんな幸せは解らなかった
収入が少ないと幸せじゃないと思っていた
したいことは出来ないし、欲しいものは買えない、惨めな生活をするしかない、
貧乏とはそんな印象でしかなかった
例えば都会に嫌気がさして田舎暮らしを始める人の気持ちは全面的には支持出来なかった
田舎は色々、うるさくて付き合いが出来ないといじめられるでしょ?
かえって窮屈なんじゃないの?
だから田舎には行かない
だけど都会だって付き合えば解る人もいて逆にそれが新鮮だったりする
みんな愛を求めているんだ
なのにギスギスして人のアラを探したり、指摘されるのを恐れて良い人のフリをしたり、そこでまた歪みが生まれる
「忙しい」って
心を亡くすと書く
つくずく昔の自分もそうだったと思う
斉藤さんはそのついでに家のことをこぼす
「息子は相変わらず、家でぐうたらしてる」
「働かないでインターネットばかりしてるの」「どうしたらいいのかしらね~」
「斉藤さんさぁ、もう放っておきなさいって言ったでしょう」
「過干渉なのよ」
戦地や災害があった地域、食べ物もない貧困な国でそんな人いないでしょう?
この国は豊かで親が色々やってあげすぎなのよ
自分で何でもやりなさいって20代の時に放り投げてれば勝手に頑張っていたわよ
いつからだっていいのよ
遅いことはない
それよりあなたが病気になったとき、その息子さんはどうなるのよ
オロオロしてどうしたら良いのか分らなくって何するか分らないわよ
まず、家事をやらせなさい
味噌汁くらい作れないと困るわよ
何もやらないなら追い出すこと
まさに被災者の状態にするしかないわね
この国は平和ボケしているから神様は時々お目玉を食らわせるのかもしれないわね
人を守って幸せにしてそれが幸せなことだって分らせるのね
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