結局分からなかったけど、充分楽しめた。
そもそも、“分かろう”“理解しよう”とか思ってはいけないのに、現実の理の世界で長く生きすぎてしまったのだろう。
村上春樹など純文学(村上作品が純文学かどうかははっきりしないが)の作品を読んだ時、私は同様のモヤモヤが残る。彼の作品の中で起きた殺人には、動機が示されてなかったり、深い穴に落ちた男がなぜそこにいるのか分からなかったりするからだ。
村上作品は多分、文体を味わうなどの読み方をしないといけないのだろう。
噛み合わない会話とか、スイカが池田とかとにかく大好きな不条理の世界のはずだったのに、私はそれに答えを期待してしまった。
反省を踏まえて、レビューを書くことにした。
不条理の世界に解答を期待してはいけない。その世界を純粋に楽しむだけでいいのだ。
それがSB亭作品の味わい方だ。
こ、これは一体何が起こっている……!?
冒頭から読み進めていく内に、「なぬ?」となる現象が起こり始めます。
谷戸と五郎三郎の二人が川辺でとりとめのない話を繰り広げる。この感じ、「セトウツミ」みたいな「ひたすら会話」なシチュエーションコメディのようなものかな、と思って読者は読み進めることになります。
だが、何かがおかしい。
抱えているスイカのことを「池田」と呼ぶ。そして、毎回エピソードの最後で池田が川に落とされる。
時には謎の女性が現れ、そのスイカ(池田)を売って欲しいと言う。
……何が起こっている? この男子高校生が抱えているようなスイカ、どうして買いたいって思うのか。品質管理も怪しいし、スイカくらいスーパーで買えばいいじゃん、と突き詰めると疑問が。
そして、その先で起こる「謎」の現象。
有名な思考実験のネタとして出される「ある事象」についての話。
最後はひたすら考察したくなる展開に。はたして池田の正体とは。そもそも、谷戸や普通の人間っぽい存在の正体は。
読む人それぞれに違った解釈ができる作品かもしれません。果たして、人間とスイカの違いとは。デヴィッド・リンチの諸作品を思わせるシュールな展開は、どこか癖になるものがあります。