第3章 第6話「戦装、整う」


焼津基地・格納庫エリア。


ブースの奥では、各機体に大量のケーブルが繋がれ、内部システムの再構築が進められていた。


「……いよいよ、本物の“戦争”だ」

佑真は、ZAIN‐01の胸部に手を置く。


赤沼梓が端末を操作しながら言った。


「機体の装備、全部見直したわよ。今度の相手は遊びじゃ通用しないからね」



【ZAIN‐01】


装備は、原点回帰――だが、進化もしていた。


右腕には、実体剣ZNソード。光学ブレードでは通らなかった重装甲に対抗するための“本物”の切断力。


左腕には、連射性能を重視した牽制用ピストル。近接間合いまでの突入に用いる。


背部には、新型の推進ブースター。瞬間的な高速移動だけでなく、短時間ながら空中戦にも対応可能となった。


「これで……斬り抜ける」

佑真は呟いた。



【NOESIS‐02】


中距離戦を意識した再構成。


両肩から張り出す最新型レーダーは、広範囲の戦術情報を瞬時に把握することが可能。


主兵装として、新型高機能ライフルを装備。精密射撃と弾幕形成を両立するバランスタイプ。


頭部には、敵の武装を瞬時に解析・可視化する戦術AIユニットを搭載。指揮官機としての能力が大幅に強化されていた。


総士は静かに、モニターを見つめた。


「目はすべてを見通す……どこまでも」



【VELTINE‐03】


スナイパーとしての特性を研ぎ澄ますため、主兵装の長距離狙撃ライフルを強化。射程は従来の1.3倍、貫通力も向上。


さらに、奇襲を受けた際の防衛手段として、左腰部にはコンパクトショットガンを装備。


「遠くから撃ち抜いて、近づかせない。それでも近づかれたら……潰す」


綾杜の言葉は冷静だったが、その奥には確かな決意があった。



【SYLPHID‐04】


電子戦に特化するその機体は、より敵陣の情報網を撹乱するための装備へと進化。


主兵装は新開発の電磁妨害バズーカ。弾頭は着弾と同時に局地ジャミングを展開、敵の通信や索敵を妨害する。


さらに肩部には多目的ミサイルランチャーを搭載。小型分裂型のミサイルが敵ACの機動を制限する。


「派手な方が性に合ってる。相手の目を引いて、ぶっ壊してやる」

裕太はニヤリと笑った。



準備は整った。スレッドゼロの4機は、それぞれの進化を遂げた。


そして次なる戦場――

ロシアとの全面戦争、その火蓋が、落とされる。

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