家でいちばん朝チュンが好き!

朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。


「……ん」


ぼんやりと目を開けると、隣で風がすやすやと寝息を立てていた。

昨日の夜、ふたりで全部を重ねたあと、くたくたになって眠ってしまった。


ふわふわの髪が枕に広がっていて、

風の肩が、毛布から少しはみ出ている。


私はそっと、自分の手を伸ばして、風の指にふれる。


――ふう。


呼んでみたけど、返事はない。

まだ、夢の中。


けれどその頬が、ふれるだけで落ちてしまいそうなくらい、柔らかい。


「昨日のこと、覚えてるかな」


私は小さく呟いた。

あんなに触れ合って、

あんなにキスして、

何度も名前を呼び合って、

好きって、何回言ったかもうわからないくらい――


「……おはよ、ひなちゃん」


目を閉じたまま、風の唇がふわっと動いた。


「……起きてたの?」


「うん。起きてたけど、起きてないふりしてた」


「なにそれ」


「ひなちゃんの顔、見てたかったから」


そう言って、風がぎゅっと私にしがみついてくる。


「……昨日のひなちゃん、すごかった」


「やめて。言わなくていい」


「えへへ……でも、嬉しかった」


風の声はかすれていて、ちょっとだけ甘えた声になっていた。


「……体、痛くない?」


「ちょっとだけ。でも、平気。……それより、ぎゅってして」


「……もぅ」


私はそっと風の背中に腕をまわす。

風はうれしそうに目を細めて、私の胸にほっぺたをくっつけた。


「ねえ、ひなちゃん」


「なに」


「昨日、ほんとに、うれしかったよ」


「……私も。好きって、止まらなくなった」


「今も、止まらない?」


「止まるわけないでしょ」


「じゃあ……もう一回、キスして?」


「……ふうはほんと、朝から……」


でも私は、もう言葉の途中で、唇を寄せていた。

静かな朝、ふたりだけの時間。

ひとつのキスが、また“好き”をふくらませていく。


こんな朝が、

これからもずっと続いたらいい――そう思った。

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