星を紡ぐ物語
@ToNaRe
STORY SUMMARY
黒い雲で覆われているとある星のとある場所。
この星で唯一常に快晴で、流れ星が降ることで有名な『星屑の街』と呼ばれる地域がありました。
そこでは流れ星が見られた次の日に『星屑』と呼ばれるものが落ちており、そこに住む人々は『星屑』のエネルギーを用いて生活を送っていたのでした。
そんな星屑の街の端くれ、小さな集落の中に、1人の小さな少年がおりました。
彼は星屑を拾い、星屑を使っている人々にそれらを売ることで生計を立てている、星屑拾いでした。
しかし、毎日は退屈で。
彼にとって、空想の世界が描かれた物語を読むことが唯一の楽しみでした。
「僕もこの本の主人公のように、わくわくする生活を送ることができたらなぁ。」
そんな月が綺麗なある日、青い花が咲き誇る花畑の真ん中で、彼が星屑を拾う休憩にと、本を読んでいた時のこと。
1人の人物が声をかけて来ました。
「ねぇキミ、この付近で宝石を見てないかい?七色に輝く魔法の様な力がある宝石さ」
なんの事か分からなかった少年は、本を閉じ答えます。
「そんな宝石見たことないよ。」
すると、その人は怪訝な顔をしてこう言います。
「いや、必ずこの場所にあるはずなんだ…。ところでキミのその籠に入っているいしっころは?」
「これは星屑。火をつければ燃え上がるし、水をかければ一気に冷たくなる。だけど七色になんて光らないし魔法のような力なんてないよ。」
すると、その人はニヤッとして続けました。
「いいや、正解だね。ひとつ貰うよ。」
その人は籠から拳ほどの星屑を拾い上げたかと思うと、鞄の中から工具のような物を取り出し、星屑をいじり始めました。
「ちょ、ちょっと。星屑に何をするの。」
「まぁ、見てなって。」
いじり出して数分後、なんとその人の手元には虹色に輝く宝石が残っていたのです。
その人は強く宝石を握りしめたと思うと、空へ向かって叫びました。
「夢はいつか叶うんだ。」
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そんな出会いをしたその人物は、自らを「魔道具職人」と名乗り、星屑から、不思議な道具を次々と作り出しました。
宙に浮かぶ絨毯、祈った食べ物が現れる蝋燭、描いた絵が動き出す木の板に、書いた本の夢を見ることが出来る万年筆。
どれも何度か使うと壊れてしまうものばかりでしたが、まるでそれは絵本の世界で見た魔法のようで。
そのどれもが少年からは輝いて見えました。
少年が魔道具職人の元に通うようになってしばらく経った頃の事。
少年はいつもの通りアトリエの扉を叩きますが、珍しくなんの反応もありません。
魔道具職人はほとんどこもりっきりでアトリエに住んでいたので、反応がないことなど今までに一度もなかったのです。
「魔道具職人さん…。入りますよー。」
扉は開いていたので、ゆっくりと部屋に足を踏み入れました。
すると、部屋の中は綺麗に片付いており、机の上には一通の手紙と大きな鞄が置いてありました。
『拝啓、これを読むキミへ。
突然いなくなってしまって申し訳ない。
もう会うことはないだろうが、私の事を書き残そうと思う。
実は私には叶えたい夢があってここに来た。
それは、本の中のような世界を作りたいという夢。
世の中を悲観するこの世界を、誰もが希望を持ち自由を謳う、そんな世界にしていきたいんだ。
キミが拾っている星屑には、夢を叶える力がある。
だが、そのままでは力は弱くどうやら私が夢見る世界にしていくためには何かが足りないようだった。
それに、その何かはこの世界では見つかりそうにない。
だから、嘘みたいな話だが、私は世界を渡ってその何かを探しに行こうと思う。
キミには申し訳ないが、私には必要なんだ。
それじゃあ、さよなら。
ps.キミがもし、本の中の世界に憧れるのであれば、それを叶えられるのは星屑の秘密を知っている私と君しか居ないだろう。
そして、キミがほかの世界を見てみたくなったのなら、より深く星屑の秘密を研究してみる事をおすすめする。
いくつかの魔道具はそこに残してきた。好きに使って貰って構わない。
キミの見上げる空が、いつも光り輝くものでありますように。』
手紙はここで終わっていました。
続けて、鞄を開いてみると、いくつかの手帳に星屑の加工道具、そして赤く輝く宝石が付いている金色の鍵。
少年は、少し考え込みましたが、
ひとつの決意を固めました。
「あの人が、何かを見つける為に旅をするのなら、僕はあの人を探す旅にでよう。そして、いつか伝えるんだ。」
「『これが僕の物語だ』って。」
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