Jaaaaaaapanese
こーいちろー
第1話 シロ爺
世界は日本以外が滅んだ。
かろうじて残った日本も過度な少子高齢化で、ほとんど人は残っていなかった。
さらに、日本各地の土地神が目覚め始め、凶暴化していた。
良き神は仕事を放棄し己の欲望に忠実に暮らすように、悪しき神は疫病を撒き散らし、悪意を振り撒き、滅びかけの日本はますます衰退の一途を辿っていた。
沖縄本島に住む
沖縄にも凶暴になった土地神が現れて、自分たちのつつましい暮らしさえ危うくなってきたので、彼らを鎮める旅に出ようと考えていた。体力には自信のある方なのだが、やはり1人では不安なので仲間を連れて行こうと決めた。
そこで、知り合いの剣道の達人シロ爺を連れて、ひとまず、鹿児島まで船で渡ることを思いついた。
シロ爺は、伝統的な沖縄住宅に住んでいる。
近所に住んでいた木夏とは小さい頃からの馴染みだ。
「シロ爺〜いる〜?俺だよ。木夏だよ」
「おお、木夏かよくきたな。上がれ上がれ。」
腰は曲がっているが、剣術はすごい。前に本島に沖縄の土地神パインシーサーが現れた時、やつの放出した棘をもろともせずに、あっという間に倒して再び祠に祀ってしまったのだ。
(切り出すべきか?)
「シロ爺。一緒に日本各地の土地神様、鎮めにいかない?」
「…。儂は何もできんぞ。剣術はもうできんと医者にこの間言われたばかりじゃ」
ドン
爆音が外に響いた。
さらに、
ドン
今度はシロ爺の真上に落ちてきた。
シロ爺は曲がった腰で逃げる事ができなかった。
「あ。逃げろ木夏!」
「でも、シロ爺。」
「お前にこの剣をやる。」
「で…」
「行け!早く!」
木夏は走った。外に出ると、芋型の化物が歩いていた。
(もしや…こいつは…鹿児島の土地神…?)
化物はゆっくりと木夏の方に向かってきている。
(やばい…?)
考えていると化物が、灰を放出してきた。
それと同時に木夏は化物に向かって飛び出した。
(見様見真似しかできないだろ。)
「うわーー!!!」
木夏は力一杯シロ爺の刀を振り下ろした…つもりだった。
ガシッと化物の大きな腕で掴まれて、そのまま遠くへ投げられた。それからの記憶はない。
……
「おはん。だいじょっ?」
(何処だ…ここは…?)
体を起こしてみるとどうやら海岸に打ち上げられたようだ。大きな山が水を挟んだ向こう側に見える。その右側には火を起こして、芋を焼いている少女がいた。
「ここって…?」
「ここは、桜島ん目ん前ん浜。おはん何処んし?あっ。あたい末」
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