Jaaaaaaapanese

こーいちろー

第1話 シロ爺

世界は日本以外が滅んだ。


かろうじて残った日本も過度な少子高齢化で、ほとんど人は残っていなかった。

さらに、日本各地の土地神が目覚め始め、凶暴化していた。

良き神は仕事を放棄し己の欲望に忠実に暮らすように、悪しき神は疫病を撒き散らし、悪意を振り撒き、滅びかけの日本はますます衰退の一途を辿っていた。


沖縄本島に住む白岡木夏しらおかきなつは、少年とも青年とも言えない16歳だ。

沖縄にも凶暴になった土地神が現れて、自分たちのつつましい暮らしさえ危うくなってきたので、彼らを鎮める旅に出ようと考えていた。体力には自信のある方なのだが、やはり1人では不安なので仲間を連れて行こうと決めた。


そこで、知り合いの剣道の達人シロ爺を連れて、ひとまず、鹿児島まで船で渡ることを思いついた。

シロ爺は、伝統的な沖縄住宅に住んでいる。

近所に住んでいた木夏とは小さい頃からの馴染みだ。

「シロ爺〜いる〜?俺だよ。木夏だよ」

「おお、木夏かよくきたな。上がれ上がれ。」

腰は曲がっているが、剣術はすごい。前に本島に沖縄の土地神パインシーサーが現れた時、やつの放出した棘をもろともせずに、あっという間に倒して再び祠に祀ってしまったのだ。


(切り出すべきか?)

「シロ爺。一緒に日本各地の土地神様、鎮めにいかない?」

「…。儂は何もできんぞ。剣術はもうできんと医者にこの間言われたばかりじゃ」


ドン


爆音が外に響いた。

さらに、


ドン


今度はシロ爺の真上に落ちてきた。

シロ爺は曲がった腰で逃げる事ができなかった。

「あ。逃げろ木夏!」

「でも、シロ爺。」

「お前にこの剣をやる。」

「で…」

「行け!早く!」

木夏は走った。外に出ると、芋型の化物が歩いていた。

(もしや…こいつは…鹿児島の土地神…?)

化物はゆっくりと木夏の方に向かってきている。

(やばい…?)

考えていると化物が、灰を放出してきた。

それと同時に木夏は化物に向かって飛び出した。

(見様見真似しかできないだろ。)

「うわーー!!!」

木夏は力一杯シロ爺の刀を振り下ろした…つもりだった。

ガシッと化物の大きな腕で掴まれて、そのまま遠くへ投げられた。それからの記憶はない。


……

「おはん。だいじょっ?」

(何処だ…ここは…?)

体を起こしてみるとどうやら海岸に打ち上げられたようだ。大きな山が水を挟んだ向こう側に見える。その右側には火を起こして、芋を焼いている少女がいた。

「ここって…?」

「ここは、桜島ん目ん前ん浜。おはん何処んし?あっ。あたい末」

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