第壱巻『 殺意概念 』

@dokuthefoolsquid

プロローグ

自分をどう描写すればいいのだろうか。

その瞬間、頭の中をよぎった疑問のひとつだった。

教室は静まり返っていた。もちろん、ほとんどの生徒はすでに家へ帰っている。

夜遅くまで自分の席に座っていることは、もはや唯一許容できる行為のひとつとなっていた。


そうして夜、私は机に腰掛け、空っぽの教室と、ゆっくり暗くなっていく風景を眺めて過ごす。

窓際の席に座っているおかげで、一日のどの時間帯でも景色を見渡すことができた。

だが、夕暮れ時の景色には、他のどんな風景でも及ばない何かを感じさせるものがある。


そんな長い時間、私はただ思考を漂わせていた。

概念から概念へ、互いにほとんど関係のないものへと流れ移る。

多くの場合、ひとつの概念が別の概念を引き寄せ、最初のものを忘れ、次のものについて考え始めてしまう。

それは時に――。


自分をどう描写すればいいのだろうか。

再び、その考えが脳裏をかすめた。


人の心象というものは主観的なものだが、

内省による自己イメージは、より正当性がある――と私は思う。

最もよく知っているはずの人間は自分自身であり、

同時に最も知らない人間もまた自分自身である。

考えてみれば、実に奇妙な逆説だ。


私は――いわば「疎外された存在」と呼べるのだろう。

時折、私は本当に人間なのかとさえ疑ってしまうほどだ。

他人とは根本的に違う考え方をし、すべてを同時に感じ、同時に何も感じない。

集団の中にいても、私に気づく者はほとんどいない。

おそらくクラスの他の生徒たちは、私の存在すら知らないだろう。


私は、見えない者だ。


私の存在を知っている唯一の人物は、算術の教師だけだ。

彼は授業中、必ず一度は私に質問を投げかける。

暗号のような算術という言語を理解する能力のない私は、

いつも「分かりません」と答えることしかできなかった。

どんな質問であれ答えられないと分かっていたから、それが習慣になってしまったのだ。


私は皆にとって異邦人であり、

算術教師にとってだけは例外だった――。

少なくとも、そのときの私はそう信じていた。


[この余白は意図的に空けられている。]


自分をどう描写すればいいのだろうか。

その瞬間、頭をかすめた疑問のひとつだった。

教室は空っぽで、もちろんほとんどの生徒はすでに帰宅していた。

夜遅くまで自分の席に座っていることは、もはや唯一許容できる行為になっていた。


そうして夜、私は机に座り、空虚な教室と、ゆっくり暗さを増していく風景を眺めていた。

窓際の席のおかげで、一日のどの時間でも景色を見ることができた。

しかし、夕暮れの景色だけは、他のどんな景色でも触れられない感情を私に与える。


長い時間、思考はさまよい、

概念から概念へ、脈絡もなく移っていく。

多くの場合、ひとつの概念が別の概念を呼び寄せ、

最初のものを忘れ、次のものを考え始めてしまう。

それは――。


自分をどう描写すればいいのだろうか。

また、その考えが頭に浮かんだ。


人の心象は主観的だが、

内省による像は、より正当性がある――少なくとも私の見方では。

何しろ、たとえあなたが私の頭の中にいるとしても、

あなたは本物の「誰か」なのだから。


最もよく知っているはずの人間は自分自身であり、

同時に最も知らない人間も自分自身だ。

私は、こうした問いを自分に投げかけるのが好きだ。


私は――いわば「模範的な存在」と呼ばれるのかもしれない。

時折、本当に自分が人間なのか疑いたくなるほどだ。

他人とは根本的に異なる考え方をし、すべてを同時に感じ、同時に何も感じない。

集団にいれば、私は誰よりも目立つ。

クラスの生徒たちは、私なしでは一日たりとも過ごせないと確信している。


私は、重要な存在だ。


私の存在を知らないのは母だけだ。

彼女は私がいなくても気づかない。

私は皆にとって重要な存在であり、

ただ母にとってだけ例外だった。


少なくとも、そのときの私はそう信じていた。


[この余白は意図的に空けられている。]

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